月刊バスケットボール5月号
[caption id="attachment_78097" align="aligncenter" width="300"]

山本 麻衣
G/165cm/トヨタ自動車 アンテロープス
fiba.basketball[/caption]

 

[東京2020 3x3 女子日本代表の横顔]

金メダルを獲るために、もう一度、自分の強みを磨く

 

 バスケットを始めてからこれまで、全ての年代で“日本一”を経験している山本麻衣。全国ミニバス、全国中学、インターハイ、国体少年の部、ウインターカップで優勝。名門・桜花学園高を卒業後はトヨタ自動車に入社。今年ついにWリーグ初制覇を果たしたそのトヨタ自動車のメンバーとして、国内最高峰のリーグでも頂点を極めた。

 そんな山本が3x3でプレーを始めたのは2018年。Wリーグのルーキーイヤーが始まる直前の3x3 U23ワールドカップで日本代表に選出され、桜花学園高の先輩である馬瓜ステファニーらとともに出場。見事に銀メダルを獲得し、山本自身は大会ベスト3にも選ばれた。

 父の健之氏はバレーボールのVリーグ・JTのリベロとして活躍し、日本代表として1994年の世界選手権にも出場。母と姉はバスケット、弟は野球というスポーツ一家で、優れた運動能力は血筋と言っていい。2019年の3x3 U23ワールドカップでは、前年の銀メダルを上回る金メダル獲得で実力を証明。この大会ではMVPも獲得し、世界にその名を知らしめた。

 Wリーグと3x3の両競技でプレーすることは山本にとって負担ではなく、むしろ相乗効果を上げている。「3x3では監督やコーチがベンチにはいません。私は5人制でもガードというポジションなので自分がリーダーシップをとっていかなければなりませんが、3x3ではより声を出して引っ張っていこうと意識しています」。

 苦しい戦いだった5月のオリンピック予選を振り返り、山本は語った。「(宿舎で)ステファニーさんと同じ部屋でした。ステファニーさんとは(桜花学園高時代から)ずっと一緒にやってきたので、声をかけ合い励まし合いながら、『次は絶対に勝とう!』と(最終戦のスペイン戦に)切り替えることができました」。

 オリンピックに向けて、山本は冷静に自分を見つめている。「予選ではドライブがかなり通用した分、オリンピックでは止めにこられると思います。私自身もそれを上回るスピードと、抜く技術の幅を増やすことが必要。2Pシュートも今まで打っていたロング2よりもう少し後ろから打てるように。オリンピックで金メダルを獲るためにも、もう一度、自分の強みを磨いていきたい」。

 オリンピック代表が決まり、父・健之氏からは「チャンスをもらったからには楽しんでこい」という言葉を贈られたという山本。夢の舞台で彼女の笑顔がはじけた時、その胸には金メダルが提げられているに違いない。

(村山純一/月刊バスケットボール)



PICK UP