月刊バスケットボール5月号

技術&戦術

2021.07.24

【インタビュー】倉石 平氏(早稲田大男子ヘッドコーチ)が語る 「コンタクトプレーの重要性」「汎用性の高いオーバーハンドシュート」とは?③

 日本代表からトップチーム、大学男女、クリニックなどではアンダーカテゴリーを指導し、幅の広いコーチングと最先端のスキルや理論を知る倉石氏。ミニバスや中学、U15、そして高校などの指導者には男女の性差なく聞いてほしい内容だ。「コンタクプレーの重要性」「汎用性の高いオーバーハンドシュート」など、現代のバスケットボールに必要なスキルや歴史的背景、練習方法を聞いてみた。

 

 

倉石氏は「バスケットボールは“型”ができれば良いという競技ではない」という

 

【スペシャルインタビュー③】
《子どもたちの指導は、型よりもセンスを磨くことなどを重要視》


――バスケットボールを始める時点で、指導者が汎用性の“低い”アンダーハンドのレイアップから導入することにも起因していますか?
「グローバルスタンダードに考えると、日本はそのような情報に疎い部分があります。子どもには感覚で教えていきながらも、指導者が“型”にはめがち。目的ではなく、型を遂行することが重視されているのが現状です。これは武士道などからきているものだと考えられますが、バスケットボールなどのチームスポーツでボールゲームでは“型”は重要視されません。
もちろん、フォームというものはあるので、全く存在しないわけではありませんが…子どもたちには、型よりもセンスを磨くことなどを重要視してほしいものです」

 

――最近でこそ、ディシジョンメイク(状況判断)と良く言われるようになりました。
「状況判断の良し悪しは、体に染み付いた感性が重要になってくるので、その部分は磨いておかないとダメなのです。“型”が重視され、“型”ができれば良いのか…バスケットボールはそういう競技ではないということです」

 

――汎用性の高いオーバーハンドシュートに話を戻します。倉石さんは、オーバーハンドのレイアップシュートから始めていくことを勧めていますね。
「ミニバス(U12など)では最初にオーバーハンドしか教えません。これは世界中です。また、日本人女性は非力だから両手でシュートするということもナンセンスです。シュートはボールを投げているのではなく、背筋や脚筋力などが総合的にボールへと伝わってシュートを放っています。また、プレーの汎用性ということも加味すれば、両手よりも片手の方が圧倒的に高く、優位に働くのです」

 

――ボールを片手で扱えることが重要ということでしょうか?
「日本のラグビーでも最近は片手でパス(オフロードパス)を投げるようになりました。今までは両手でパスしなければミスが多くなると言われていましたが、コンタクトした状態でオフバランスでも手さえ自由であればコントロールできますし、そのようなパスを始めたことでプレーの幅が圧倒的に広がったという経緯があります。多少のリスクをともなわなければ新しいことは生まれないからです。
つまり、『最初はアンダーハンドのレイアップシュートでなければならない』という概念を打ち破らなければなりませんし、選手の将来を考えればなおさらということです。“型”にはめて押し付けて指導しているということは、選手の将来を潰しかねません。
ちなみに、オーバーハンドができればアンダーハンドは簡単にできるようになりますよ」

 

――ちなみに、オーバーハンドの汎用性の高さを挙げてください。
「フローターやジャンプシュート(当然、ワンハンド)、プッシュパス、フックシュート系…全部がさまざまなスキルにつながってきます。だからこそ、オーバーハンドなのです」
(※詳しい練習方法は動画で)
※④へ続く

 

★詳しくは「月バス オンライン コーチセミナー」(https://b-academy.net/)で!

《受付を終了いたしました》

 

(月刊バスケットボール)



PICK UP