月刊バスケットボール5月号

技術&戦術

2021.07.23

【インタビュー】倉石 平氏(早稲田大男子ヘッドコーチ)が語る 「コンタクトプレーの重要性」「汎用性の高いオーバーハンドシュート」とは?②

 日本代表からトップチーム、大学男女、クリニックなどではアンダーカテゴリーを指導し、幅の広いコーチングと最先端のスキルや理論を知る倉石氏。ミニバスや中学、U15、そして高校などの指導者には男女の性差なく聞いてほしい内容だ。「コンタクプレーの重要性」「汎用性の高いオーバーハンドシュート」など、現代のバスケットボールに必要なスキルや歴史的背景、練習方法を聞いてみた。

 

「フローターの状態からプレーを変化させることができる」(倉石氏)

 

【スペシャルインタビュー②】
《“スモールボール”は中高生などで取り入れることが望ましい》

 

――ビッグマン不在の“スモールボール”は、5人全員がリングに正対するという点から考えると、中高生などで取り入れていくことが望ましいと思いますか?
「望ましいですね。ちなみに、アメリカの場合は最初にゴール下シュートを教えます。次に、サイズに関係なくリングに背を向けてパスを入れてシュートを考えさせるのです。そうすると、プレーヤーは勝手にターンアラウンドやシュートフェイク、ドリブルなど使ってディフェンスとコンタクトしながらシュートすることを覚えます。そこから徐々に外側へと広がっていくという形で練習していきます。
中高生は、そのようなことも必要なのですが、リングに正対して自分でクリエイトする(相手を出し抜く)能力を身に付けないと、その後に第二次成長期が来たり、筋力が付いたりという体の変化が出てきたとき、ポジションアップやダウンということが起こるのです。その際、全てに対応するためには両方の1対1における仕掛けが必要不可欠になってくるのです」

 

――“スモールボール”で基礎となるプレーは何でしょうか?
「基礎要素として重要なのは、1対1でディフェンスを突破することです。突破する能力を作るクリエイトさが不可欠になります。その部分ができても、アウトサイドの完全なオープンシュートを決めなければなりません。そのスポットアップシュートが確率良く決める必要があるのです。加えて、慌ててクローズアウトしてきたディフェンスを突破する能力も重要になってきます。
ここで再びキックアウトしても能がないので、ディフェンスの手前で仕掛けるフローターやディフェンスとコンタクトしてもシュートを決めることができるコンタクトフィニッシャーというプレーを練習することになっていくのです。この2つはドライブで必要になるスキルになります。キックアウト系やフローター、コンタクトフィニッシャー系の3つは全てをひとくくりにして持っていなければならないのです」

 

――フローターはだいぶ前からスキルとして取り入れられていますよね?
「フローターの良い部分はシュートだけではないことです。フローターの状態からシュート、キックアウト(長いパス)、ディッシュ(短いパス)とプレーを変化させることができます。ディフェンスはパスかシュートか分からず、オフェンスに翻弄されることになるのです」

 

――フローターなど、片手のオーバーハンドシュートが必要になってくるのは、シュート確率が高くなるからでしょうか?
「確率というよりは、プレーの幅が広がるからと考えた方が良いです。プレーの多彩化となります。ボールマンがパスやシュートだけでなく、シュートの種類を選択できるメリットもあります。これがアンダーハンドの場合、かなり限られたプレーになってしまうことは否めません。
アンダーハンドでキックアウトパスを左右、どちらの手でも出せるようになるのは無理だと思いませんか(笑)。オーバーハンドであれば左右関係なくパスできますよね」
※③へ続く

 

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(月刊バスケットボール)



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