月刊バスケットボール6月号

技術&戦術

2021.07.22

【インタビュー】倉石 平氏(早稲田大男子ヘッドコーチ)が語る 「コンタクトプレーの重要性」「汎用性の高いオーバーハンドシュート」とは?①

 日本代表からトップチーム、大学男女、クリニックなどではアンダーカテゴリーを指導し、幅の広いコーチングと最先端のスキルや理論を知る倉石氏。ミニバスや中学、U15、そして高校などの指導者には男女の性差なく聞いてほしい内容だ。「コンタクプレーの重要性」「汎用性の高いオーバーハンドシュート」など、現代のバスケットボールに必要なスキルや歴史的背景、練習方法を聞いてみた。

 

「現代のバスケットボールにはコンタクトプレーが必須」と倉石氏は言う

 

【スペシャルインタビュー①】
《なぜ、現代のバスケットボールでは、コンタクトプレーが必要になったのか?》

 

――なぜ、現代のバスケットボールでは、コンタクトプレーが必要になったのでしょうか?
「アメリカのバスケットボール事情が大きく左右しています。これまでNBAなどではインサイドゲームが蔓延していましたが、そこから離れなければならない事情が出てきたのです。アメリカにはビッグマンが不在で、小さなプレーヤーたちで勝負できるように速い展開のスタイルに変わってきました」

 

――以前は“ゴール下を制する者は試合を制する”という考えでした。
「従来どおり、ビッグマンに対してパワー勝負になってしまえば非力であることは目に見えています。そのため、逆にビッグマンが不利に働くようなことを考えなければならなくなったのです」

 

――そこでどのようなことが起きたのですか?
「“大きなスペースを取らなければならない”“5人全員がリングに正対していなければならない”“シュート力がなければならない”ということになってきました。このような状況になったのが約10年前で、そこからプレーが精査されていったのです。
2005年ぐらいからプレーで表現され始め、2010年ぐらいからルール化されていきました。そして2013年頃には“スモールボール”という言葉が使われ、ゴールデンステイト・ウォリアーズがクローズアップされ、ウォリアーズの黄金時代となったのです(2015、2017、2018年にNBAチャンピオン)」

 

――あらかじめ、ポストにプレーヤーを立たせないオフェンスが流行しましたね。
「ホーンセットやディレイなど、はっきりポストを使わず、ステイポストという形がないバスケットボールスタイルに変化していきました」

 

――そうとはいえ、アウトサイドシュートばかりを放つというスタイルではありませんでしたが…。
「大きなスペースを取ったり、パッシングだったり、速さを求めたりすると、3Pライン上しかボールが回らなくなってしまいます。ペイントエリアを大きく空けるということがポイントなので、プレーを速くしてディフェンスの隊形を作りにくくし、オフェンスのプレーヤーが一線を突破すればヘルプディフェンスがいない状況を作りたいです。

 次に、ディフェンスはヘルプの距離が長くなるため、ドライブからキックアウトされるとディフェンスは追随していくことが難しくなるのです。また、プレーヤーが動くよりもパスの方が速いので、これらの条件が合致するのが、現在のバスケットボールスタイルというわけです」
※②へ続く

 

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《受付を終了いたしました》

 

(月刊バスケットボール)



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