月刊バスケットボール5月号

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2021.07.22

東京オリンピックの女子バスケアメリカ代表チームが来日

 東京オリンピック開幕に出場するバスケットボールの女子アメリカ代表一行が東京に到着、7月21日にズーム会見を開いた。会見に真っ先に登壇したドーン・ステイリーHCに、率直に来日の感想を聞いた。「ようこそ日本へ。いよいよ選手村に行ってみて、今どんなお気持ちですか?」 


ステイリーHCは明るい笑顔を見せながら受け答えをしてくれた。「選手村に入るというのはやはり気持ちが高ぶる体験ですね。どれだけ多くのアスリートが集まっていて、そのアスリートたちがどんなに大きくて、どれだけしっかり体を作ってきているかを感じられるんです。村内で食事も楽しみました。6月に対戦したプエルトリコ代表(アメリカ代表は大学生のセレクトチームで臨んだFIBAアメリカップ2021の決勝でプエルトリコ代表と対戦した)の人たちの姿も見えましたよ」

 

 来日したのは前日の夜遅くで、一行は実際にはまだ入村前。ホテルに一泊した後、入村の手続きを終えてから午後には練習も行い、夕刻から会見に臨むという非常に忙しい流れだったという。この日はステイリーHCも、他に登壇したプレーヤーたち(ブリアナ・スチュアート、ブリトニー・グライナー、エイジャ・ウィルソン、ナフィーサ・コリアー)も疲れがあったに違いないが、全員がにこやかな表情で対応を続けてくれた。

 

来日後最初のズーム会見に登壇した女子アメリカ代表のステイリーHC(写真/©USA Basketball)

 

 ステイリーHCは「とても良い気分です。各国の人々が部屋から国旗を飾っているのが見えて、写真を撮っちゃいました」と続けた。「こういう体験もなかなかできないものです。ウチの初体験組もみんな写真を撮って、超盛り上がっていたました。村の雰囲気を感じているんですね。村にいないと、どんなアスリートたちが来ているのかという感覚がつきづらいものなんです。(その場に加わることで)本当にたくさんのアスリートが世界中から集まっていること、それぞれが国を代表してやってきた最強の存在であることがわかるんです。素晴らしい体験ですよね」。他の国や地域からやってきた仲間でありライバルであるアスリートの姿が、自分たちが最強アスリートの一人であることを自覚させ、やってやるぞ! という高揚感をもたらすのだろう。

 

<ステイリー自身による英文の回答>
You know it’s always exciting when we get a chance to visit the Olympic Village. You really get a real good feel of how many athletes are there, the size of athletes, you know, how well they take care of their bodies. And it was great when we ate in the Olympic Village. We saw the Puerto Rican team that we played earlier in June.
But it was just wonderful feeling. I took pictures of all the different countries wearing their flags, hanging out there in their rooms. I think it just was an awesome experience. I know our first timers all probably took it all in and they were all super excited about just feeling it. Because sometimes when we’re not in the Villege, you don’t really get a real good feel of the type of athletes that are here, a lot of them. They are from all over the world and they are there, the very best in the world. They are representing their countries and wonderful things to experience.

 

 自身も3度オリンピックで金メダルを獲得しているだけに、ステイリーHCは落ち着いてチームを率いている様子だ。試合に関しては、身長206cmのビッグセンター、 ブリトニー・グライナーを中心とした高さが、アメリカ代表の強みとなるだろうことを強調していた。

 

 日本代表との対戦に関しては、来日前のウォームアップ・シリーズ(WNBA多国籍オールスター・チーム、オーストラリア代表、ナイジェリア代表の3チームと対戦し、勝利は最後のナイジェリア代表との試合のみ)の期間中に聞いた際には、まだまだスカウティングに及んでいない様子だった。この日、ステイリーHCに続いて登壇したスチュアートに聞いてみたが、基本的には「まずはナイジェリア代表が先」といった趣旨の回答だった。

 

 対策を何もしていないことはないだろうが、全体的な様子から現段階で感じられるのは、他チーム対策よりは自チームの調子を上げることに重点を置いているということで、これは真実ではないかと思う。ただし、だからといって相手を軽んじているわけではなく、自信を持っている自分たちの能力が80%、90%しかできない状態ではなく、100%、120%のレベルで引き出されるような準備が優先事項なのだろう。

 

 7大会連続金メダル獲得を目指す女子アメリカ代表は、7月27日(火)の13時40分ティップオフの対ナイジェリア代表戦で、東京オリンピックの戦いを始める。日本代表との試合はどんな内容になるのかというのはもちろん大きな興味の対象だが、まずは新型コロナウイルス感染拡大が収まらない現状の東京にやって来てくれた一行が、何事もなく穏やかに東京での滞在を楽しむことができますように。それさえできれば、日本代表との対戦を含めどの試合でも、見ごたえ満点のバスケットボールを見せてくれることだろう。

 

 なお、この日は女子アメリカ代表のスー・バードがアメリカ選手団の旗手を務めることも発表されている。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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