月刊バスケットボール5月号

5人制男子バスケ日本代表東京2020展望&TV放送予定

日本代表は海外組の3人を核に、12人全員の力を結集して良い結果につなげたい(写真/石塚康隆 月刊バスケットボール)

 

世界を驚かせる挑戦がいよいよ始まる

 

 5人制男子バスケットボールの日本代表が、45年ぶりにオリンピックの舞台に戻ってくる。2019年3月30日に、コートジボワールのアビジャンで開催されたFIBAの理事会で、今大会での開催国枠適用が承認された時点で、すでに歴史が動き出しているが、その後の強化・選考を経た最終の12人がコートに立つ情景を想像し、感慨深い思いに浸っておられる関係者やファンもきっと多いことだろう。

 

 大会が近づくにつれ、日本代表はあらゆる世代からの祝福に値する成果を見せ始めている。バスケットボールに熱を注いだあらゆる世代の人々が、あらゆる異論や反論の壁を越えて声援を送ることができる12人が戦う準備をしている。おめでとう、頑張れ、信じているぞ――無観客の会場で、彼らはきっとそうした人々の思いを受け止めて戦ってくれるに違いない。

 

 5人制男子バスケットボールの競技フォーマットは女子とまったく同じだ。出場12チームが4チームずつ3つのグループに分かれて総当たりのグループラウンドを行った後、各チームの上位2チームと、3位の中で成績が上位の2チーム(計8チーム)でノックアウト方式のメダルラウンドへと進む。12チームのグループ分けは以下のようになっている。


グループA: イラン(23)、フランス(7)、アメリカ(1)、チェコ(12)
グループB: オーストラリア(3)、ドイツ(17)、イタリア(10)、ナイジェリア(22)
グループC: アルゼンチン(4)、日本(42)、スペイン(2)、スロベニア(16)
※カッコ内はFIBA世界ランキング

 

 ランキングを見れば、男子日本代表は出場全チーム中で唯一トップ25から大きく逸脱した下位チームというのが現実だ。しかも、本番の初戦では、FIBA世界ランキング2位のスペイン代表と闘うことになっている。チームリーダーの東野智弥技術委員長が最終メンバー発表時に語ったのは、「世界を驚かせるバスケットボール」をすること。限りなく大きな挑戦だ。しかし、日本代表は7月に入ってからのウォームアップ・シリーズで、その挑戦に向かう準備が相当高いレベルでできていることを感じさせた。

 

 対戦した相手はすべてFIBA世界ランキングでは格上のハンガリー代表(38位)、ベルギー代表(37位、2試合)、フィンランド代表(32位)、そしてフランス代表(7位)。この5試合で日本代表は、最高位のフランス代表との試合における大金星を含め3勝2敗と勝ち越している。海外組のプロ3人がそろった直近の2試合はいずれも白星。また、敗れた2試合はいずれも2ポゼッション以内の僅差だった。

 

 ロスター12人の核は、エキジビション2試合に出場してチームトップの平均21.5得点、6.5リバウンド、2.0アシストを記録した八村 塁(ワシントン・ウィザーズ)と、5試合すべてでスターターを務め平均18.2得点、5.8リバウンド、2.6アシスト、1.6スティールの渡邊雄太。得点面では比江島 慎(宇都宮ブレックス)も5試合で平均11.2得点。さらにエドワーズ ギャビン(千葉ジェッツ)が平均10.8得点と、2ケタアベレージが4人いる。


また、ウォームアップ・シリーズでは際立った数字を残していないものの、2試合を通じてやはり馬場雄大(メルボルン・ユナイテッド)のプレーぶりは力強さを感じさせている。フランス代表に対する勝利を決定づけたのも、馬場のスティールからのダンクだった。


比江島は3P成功率が61.5%と好調だ。フィナーレの対フランス代表戦では2Pショットとフリースローも含め放ったショットすべてが成功。自信を感じさせるアグレッシブなアタックが好結果を生んだ。


エドワーズはリバウンドがチームトップの平均7.8本で、フィールドゴール成功率も64.3%と高確率だ。彼ら4人に加え、平均7.6得点、フィールドゴール成功率48.3%、3P成功率も36.4%と得点力を示しつつ3.4アシストにチームトップの1.8スティールと攻守に力を発揮しているビッグガード、田中大貴(アルバルク東京)の存在がさらに相手チームに脅威をもたらしている。



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