【近畿インターハイ2015記者の目】勝利に導いた“声”
試合時間が残り1分で7点ビハインドの中、洛南⑬柳川幹也がコート上で声を発した。 以前から「声を出すことは中学から慣れています。そこに学年は関係ありません」という2年生の司令塔。強烈なリーダーシップで上級生をもけん引し、リーダーの風格をも漂わせる選手。 最大23点差から追い上げ体力も限界の中、自らのスタイルを変えない精神力は、とても2年生とは思えないように感じた。 一方、アウェイの帝京長岡にとって大きな力になったのは、④頓所幹康だ。決して派手なプレイや得点を多く取るのではなく、泥臭いプレイが光る選手。そして、キャプテンとして常にコート上で声を出し続け、チームを鼓舞する。 「下級生は不安がたくさんあると思います。練習ではガッと言うときがありますが、今日は落ち着くような声をかけました」。 印象的なシーンがあった。洛南に追い上げられた第4Q中盤、執拗なマークを受けストレスを溜めていた⑦ディアベイトに駆け寄り、声をかけた。
「あのときは落ち着くように言いました。時には熱く、時には冷静さとメリハリをつけるように心がけています」 その後、ディアベイトは落ち着きを取り戻し、逃げ切ったことを考えれば、頓所のあの声掛けが勝負を決めた一因となったと言っても過言ではない。 立ち上がりに失敗してベンチや応援席も沈んだ洛南に対し、頓所をはじめ応援席からも声が出続けていた帝京長岡。 声を出せば勝てるということは決してないが、名前どおりチームの“幹”である頓所から発せられる声はチームメイトを鼓舞する薬であり、勝利に導くものなのかもしれない。 (月刊バスケットボール編集部)