月刊バスケットボール6月号

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2021.07.12

男子バスケ、日本代表と同組アルゼンチン代表が黒星

 男子日本代表が東京オリンピックのグループC最終戦で対戦するアルゼンチン代表が、ラスベガスでオーストラリア代表とのエキジビション・ゲームを行った。

 

 この試合はFIBA世界ランキング3位(オーストラリア)と4位(アルゼンチン)という、メダル候補同士の好カード。試合内容としても競った展開が続き、第4Q残り1分に41歳の大ベテラン、ルイス・スコラ(イタリア、ヴァレーゼ)が3Pショットを成功させた時点で84-84の同点に。次のディフェンスで粘ってショットクロック・バイオレーションを誘い、ボールを取り戻したアルゼンチン代表は、返しのオフェンスでパトリシオ・ガリーノ(リトアニア、ジャルギリス・カウナス)の3Pショットが決まり逆転かと思われたが、これもショットクロックに間に合わず得点は認められなかった。最後は残り2.5秒からのサイドライン・インバウンドプレーで、パティ・ミルズ(サンアントニオ・スパーズ)にブザービーターとなる3Pショットを決められ、84-87で敗北となった。

 

<試合結果>
オーストラリア代表 87(20 22 20 25)
アルゼンチン代表 84(21 26 12 25)

 

 アルゼンチン代表はかつてヒューストン・ロケッツほかで活躍したスコラが25得点、8リバウンド、2アシストを記録。ファクンド・カンパッゾ(デンバー・ナゲッツ)が12得点に5アシスト、ルカ・ビルドサ(ニューヨーク・ニックス)も11得点、2アシストと、新旧のNBAスターがチームをけん引した。

 

 勝ったオーストラリア代表はミルズが17得点、5アシスト、4リバウンドとオールラウンドに活躍。ジョー・イングレス(ユタ・ジャズ)が16得点に3アシスト、2リバウンド、マティース・サイブル(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)が15得点に5リバウンド、アーロン・ベインズ(トロント・ラプターズ)も14得点、8リバウンドと、やはりNBAプレーヤーを中心に、登録プレーヤーがバランスよく貢献した。

 

 現時点でのアルゼンチン代表は15人の候補が名を連ねており、この試合を含め3試合を戦うラスベガスでのウォームアップ・シリーズを経て12人に絞るとのこと。この時点ではカンパッゾ、ビルドサに加え、NBAプレーヤーではガブリエル・デック(オクラホマシティ・サンダー)も候補入りしている。この試合を見ればスコラの存在感は強く、体力的な衰え以上にスマートさ、プレー精度の向上の方が目を引き、パフォーマンスとしては今も世界のトップレベルであることが感じられる。スコラはチームのキャプテンも務めている。

 

 試合の終盤でヒーローになり損ねたガリーノは、アメリカのジョージ・ワシントン大学出身で、渡邊雄太とともに2016年にNIT(NCAAトーナメントと同時期に行われる第二の全米大学選手権)でチャンピオンになったメンバーだ。スコラは「パトリシオは重要な存在で、このチームに加わって以来カギとなる仕事をしてきています。2019年には、彼がいなければどの試合も勝てなかったでしょう」とその存在感を説明した。「過去2シーズンは環境の変化や故障と対面しなければならず大変だったと思いますが、今日の試合では19分しかコートに立たなかったのに+21でした。これを見ても彼の重要性がわかると思います」

 

写真左はアルゼンチン代表のセルヒオ・エルナンデスHC、右がルイス・スコラ(©USABasketball ※写真をクリックするとインタビュー映像を見られます)

 

 アルゼンチン代表はこのあと、日本時間7月13日(火=現地12日月曜日)にナイジェリア代表と、翌14日(水=同13日火曜日)にはアメリカ代表と対戦し、日本に飛んでくる。東京オリンピックでは、7月26日(月)の対スロベニア代表戦が初戦となる。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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