月刊バスケットボール6月号

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2021.07.11

男子バスケアメリカ代表、ナイジェリア代表に歴史的敗北

 ロスター全員をNBA スターで固めたバスケットボールの男子アメリカ代表が、ナイジェリア代表を迎えてラスベガスで行われた東京オリンピックへのウォームアップ・シリーズ初戦に登場。ナイジェリアの粘り強い戦いぶりに、87-90で黒星を喫するという波乱の結果となった。


FIBA世界ランキング1位のアメリカ代表はこの試合のスターターに、ブラッドリー・ビール(ワシントン・ウィザーズ)、ディミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)、バム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)の5人を起用。ビールは八村塁のチームメイトだ。


しかし、同ランキング22位のナイジェリアもスターター5人中4人がNBAプレーヤー。キージー・オクパラ(マイアミ。ヒート)、ジョシュ・オコーギー(ミネソタ・ティンバーウルブズ)、ゲイブ・ナムディ(マイアミ・ヒート=ヒートでの登録はゲイブ・ビンセント)、アイク・ヌワム(ロシアリーグBCサマラ)、プレシャス・アチュワ(マイアミ・ヒート)という布陣で対抗し、試合を緊迫した接戦に持ち込むことに成功した。

 

 この試合で大きな差が出たのは3P ショット。スタッツ上は3Pショットでの得点がナイジェリア代表60、アメリカ代表30という圧倒的な数字だった。終盤のクランチタイムには、アメリカ代表もドレイモンド・グリーンらの執拗なディフェンスが光ったが、辛抱強くボールをキープし、シューターを活用したナイジェリア代表のロングレンジが良く決まった。


ナイジェリア代表はナムディが21得点でトップスコアラー。アメリカ代表はデュラントの17得点が最高得点だった。デュラントはアメリカ代表としての連勝記録が39で途絶えている。


試合後の会見でアメリカ代表のグレッグ・ポポビッチHCは、「ナイジェリア代表は非常にフィジカルにプレーしてきました。3Pショットも相当やられましたね。彼らのプレーが良かったです」と敗戦を振り返った。

 


9年前のロンドンオリンピックで、アメリカ代表はナイジェリア代表を156-73の83点差で破っていた。今回の金星はナイジェリア代表にとって歴史的な勝利であっただけでなく、世界のバスケットボールがトップに君臨するアメリカに急速に追いついてきていることを、いま一度強く印象付ける結果と言えるだろう。

 

 ナイジェリア代表を率いたマイク・ブラウンHCは、「アメリカのバスケットボール界のタレント層は深く、その点で世界のどの国も及びません」と話す一方、自らのナイジェリア代表に関して「14歳の頃から一緒にプレーして育てています」と、育成面の長期的な取り組みが実を結んでいることを笑顔で明かした。「彼らは今日、お互いのために良く戦いました」との言葉も誇らしげだった。

 

 

アメリカ代表 87(23 20 21 23)
ナイジェリア代表 90(22 19 25 24)
トップスコアラー
アメリカ代表: ケビン・デュラント(17)、ジェイソン・テイタム(15)、ディミアン・リラード(14)、バム・アデバヨ(11)
ナイジェリア代表: ゲイブ・ナムディ(21)、ケイレブ・アガダ(17)、アイク・ヌワム(13)


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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