月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.07.10

NBA創立75周年で振り返るロゴマン秘話

 

 NBAが創立75周年を記念し、2021-22シーズンに広く使用するロゴを発表した。あらたなロゴは、これまでと同じリーグアイコンの“ロゴマン”をフィーチャーしつつ、ダイヤモンドをベースにしたデザインでアイデンティティを一新している。ダイヤモンドの形は75周年のシンボルとして採用されたという。

 

 NBAはこの新ロゴを公式グッズ、コートやアリーナ内、オリジナル放送、デジタルやソーシャルメディアのコンテンツに使用していく。

 

 NBAのロゴは、1960年代から1970年代にかけて、ロサンゼルス・レイカーズで活躍したスーパースター、ジェリー・ウエストのシルエットであることが広く知られている。しかし実は、リーグがこれを明確に表明したわけではなく、言ってみれば一つの都市伝説のようなものとして知られているのだ。

 

 一方でウエスト本人は、ロゴに自身の肖像が使用されていることを承知している。彼自身が公のメディアでそれを明らかにしているのだ。

 

 2017年の4月にアメリカの大手スポーツメディアESPNの番組に出演したウエストは、「It’s flattering if that’s me. And I know it is me…(身に余る出来事ですよ、それが私のことだとすれば。あきらかにそうなんですが…)」と複雑な心境を切り出した。本人は、実はロゴに“されてしまった”ことにどこか気恥ずかしさのような、ネガティブな感覚を持っていたのだ。

 

 「私はリーグが初めて売り出しをかけようという時期にプレーしていました。候補として検討したのは5人いたのですが、亡くなられたかつてのコミッショナー、ウォルター・ケネディーさんから、それ(ロゴのシルエット)が私だと知らされたんですよ」

 

 ウエストはレイカーズの中心的なスターとして、1972年にリーグ制覇を成し遂げた。また、その3年前の1969年には、NBAファイナルで宿敵ボストン・セルティックスと第7戦まで戦って敗れたにもかかわらず、ファイナルMVPを獲得している。この受賞によりウエストは、この年に新設されたNBAファイナルMVPの初代受賞者となったと同時に、現在まで唯一の、敗れたチームから選出されたファイナルMVPということになった。要はそれほどまでに、当時バスケットボールファンの間で強い存在感を誇るアイコンだったのだ。

 

 バスケットボールの本業以外では、自分自身に注目が集まるようなことを避けたいという、ちょっとシャイな性格のウエストは、リーグがロゴを変えるなら大賛成だという。「If they would want to change it, I wish they would. In many ways I wish they would(もし彼らが変えたいと望むなら、私はそうであってほしいんです。いろんな意味でそう思っています)」と話すウエスト氏。いっそのこと現コミッショナーのアダム・シルバーにしたらどうかとジョーク交じりに話すほど、自身のシルエットをフィーチャーした現在のロゴに無邪気な抵抗感を持っているのだ。

 

 NBAのロゴに関しては、例えば1990年代にシカゴ・ブルズで6度チャンピオンになったマイケル・ジョーダンにしてはどうかとか、昨年1月にヘリコプター事故で急逝したレイカーズのレジェンド、コービー・ブライアントにしてはどうかなどと、巷のファンの間ではさまざまな議論が折に触れて巻き起こる。しかしリーグ創立75周年の記念ロゴも、主役はウエスト“らしき”おなじみのロゴマンだ。

 

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文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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