月刊バスケットボール6月号

バスケ男子日本代表、6.23からイラン代表と国内組15人で3試合

 6月23日(水)から27日(日)にかけて宮城県・岩手県で開催される、『バスケットボール男子日本代表国際強化試合 2021 (宮城大会 / 岩手大会) International Basketball Games 2021 in MIYAGI / IWATE 東日本大震災 10 周年復興支援大会』に出場する男子日本代表メンバーが発表された。今回は、6月16日から19日までのFIBAアジアカップ2021予選に出場したメンバーからチェンバース アキ(横浜ビー・コルセアーズ)と篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)が抜けた陣容。登録15人全員が国内組で、NBAで活躍する渡邊雄太(トロント・ラプターズ)と八村 塁(ワシントン・ウィザーズ)、そしてNBLメルボルン・ユナイテッド所属の馬場雄大は含まれていない。

 

チェンバース アキ、篠山竜青はお役御免


ただし、東京2020オリンピックに向けた男子日本代表候補は、イランとの試合に登録された15人の国内組に渡邊、八村、馬場の3人を加えた18人となり、その中から最終の12人が、7月上旬頃選出・発表される予定となっている。
男子日本代表は、20日から東北地方にて第5次強化合宿に入っている。7月5日(月)まで続くこの合宿の一環として、今日6月23日(水)からの上記国際強化試合3試合が組まれている形だ。

 

6月19日にフィリピンで行われたFIBAアジアカップ2021予選での対中国戦より(写真/©SBP/FIBA Asia Cup)

 

イラン代表戦のみどころ

 

 国内組で戦ったFIBAアジアカップ予選では、格上と目される中国代表(FIBA世界ランキング29位)と2試合を行い、いずれも黒星で終わったものの互角以上に戦えた時間帯も多かった。その2試合では、金丸晃輔(シーホース三河)を中心に3Pショット成功率がチーム全体で39.1%、成功数が1試合平均で12.5本。これらは中国代表の27.9%、6.0本に対し大幅に上回っており、3Pショットでの得点に換算すれば、これも1試合平均で37.5-18.0といっそうその差が鮮明になる。大幅なサイズのアドバンテージがある中国に対し、2Pショットでの得点は逆に23.0-45.0と圧倒されているのだが、データ上は中国代表のような大型チームに対抗する術としての3Pショットにメドが立っていることも示されている。
2Pフィールドゴールと同様に、リバウンドには中国のサイズのアドバンテージが色濃く表れたと言える。平均奪取本数は日本の1試合あたり26.5本に対し中国は39.5本と13本の差をつけられていた。ただし、オフェンス・リバウンドでは日本の10に対し中国も10.5。日本のフロントラインが体を張り、バックコートが良くボールを拾い、獲るべきボールを獲りにいっていたことも示されている。

 この頑張りは、直接的にセカンドチャンスでの得点(2試合で日本は16得点[中国は28得点])とともに、トランジション・ディフェンスでの素早い戻りとも相まって、中国に速攻からの得点(2試合で14得点/逆に日本も10得点していた)を安易には許さないという意味でも好影響を生み、2試合ともに日本が最終スコアを1ケタの点差に食い止め引き締まった試合をできた要因となっていた。
試合の流れという意味では、特に注意したいのが試合への入り方と終わり方。中国との2試合を通じて戦った8つのクォーターでは、日本がリードして終えたのは2度、タイが1度、リードされたのが5度あった。リードされた5度のうち特に劣勢が顕著だったのは初戦の第1Q(12-20)と2試合目の第4Q(15-25)だった。
初戦は第1Qに主導権を奪われた後、最大22点差まで引き離され終盤に追い上げた。しかし第4Qにそのすべてを取り戻す、押し切るまでの力はなかった。

 また、登録を変えてビッグラインナップで臨んだ中国との2試合目では、第1Qではしっかり流れを作ることができた。その流れを維持し、第4Q半ばまでのほとんどの時間帯でリードしていた日本だったが、最後の約6分44秒間に渡り4-17と急速に勢いを失ってしまった。勝ちに来た中国のディフェンスの変化に日本はまったく対応できず、攻め手を失ってしまった形だった。結果としては、立ち上がりと締めの時間帯が勝負を分けた印象だ。ただし、リードされて終わった5度のクォーターでも、このほかの3度(初戦の第2Q=8-12、第3Q=15-18、2試合目の第2Q=16-20)はいずれも2ポゼッション以内。簡単に崩壊しなかった点は高く評価できるのではないだろうか。

 流れという意味ではもう一つ、各クォーターの終わり方も注目事項と言える。この観点から上記の初戦第2・第3Qと2試合目の第2Qを含め終わり方をさらに振り返ると、もったいないミスで終えているケースが目立つのだ。

 16ヵ月ぶりの実戦だったということは理由の一つだが、それだけで終わるべきではないだろう。初戦の第1Qで日本は残り1秒に、第2Qには残り2秒にいずれもレイアップショットを決められて失点。第3Qは残り2秒に日本がターンオーバーを犯して終わっていた(第4Qは勝負が決した後中国がコントロール)。同様の傾向はチャイニーズ・タイペイとの試合でも露呈され、序盤の大量リードをほぼ失いかける悪い流れにつながっていた。
フィリピンでの3試合目だった最後の中国戦では、この点が改善されていた。この試合の第1Qは日本のショットで終わり、続く第2・第3Qでも相手にみすみす楽な得点を許すことなく終えている。それが次のクォーターに向けプラスに働いた(あるいは少なくとも悪い影響引きずることがなかった)のは間違いないだろう。
FIBA世界ランキング23位(アジアではオーストラリアに次ぐ2位)のイランとの3試合は、再び国内バスケットボールシーンの進化を検証する機会となる。サイズやフィジカリティーでアドバンテージを持つ相手に国内組の日本がどう対抗できるか。武器とすべき3Pショットを実際にどれだけ自分たちの武器にできるか。それぞれの試合とクォーターで、どのような流れを生み出すことができるか。

 その結果として勝利をつかむことができるか…。興味の尽きない大会になりそうだ。

 

☆次ページ: 対イラン戦登録メンバー一覧と大会情報

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