月刊バスケットボール6月号

バスケ女子日本代表候補、第6次強化合宿参加メンバーは変わらず16人

ポルトガル代表と戦った女子日本代表の16人(写真/石塚康隆)

 

世界一を目指すチームの迫力がほしい

 

 6月19日から第32回オリンピック競技大会(東京2020 オリンピック)に向け、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)での第6次強化合宿に突入したバスケットボール女子日本代表チーム。注目の人選が公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)から19日に発表されたが、今回はポルトガル代表との国際強化試合に臨んだ16人から動いていない。
トライアウトの意味も兼ねて行われたポルトガル代表との国際強化試合(三井不動産カップ 2021[神奈川大会])で、日本は3試合すべてに勝利したが、「世界一を目指すチーム」と呼べるまでの迫力には欠けたのが現実だ。

 この時期に踏むべきステップとしては間違いなく良かった。しかし、プレッシャーのかかる状況で非常に難しいことだというのはわかってはいても、この目標を掲げる以上は言い訳にできない。この時期の結果として厳しく捉えなければいけないところは、厳しく捉えなければいけないだろう。
オフェンスに関しては、稿でも記されているとおり懸念材料が多い。提示されるデータからは、理想のオフェンス像に対して70.0%程度の出来と言えるのではないだろうか。チームとしてこれらのデータが示す内容については、第6次・第7次合宿のテーマとなるに違いない。
逆にディフェンスに関しては、一定の収穫を得られたとみて良いように思う。190cm台を2人そろえたポルトガル代表を相手にインサイドへのパスを良く阻止し、ターンオーバーを誘う場面が何度も見られた。

 その190cm台の2人に2ケタ得点を許したのは初戦のみで、ポルトガル代表は3試合で平均ターンオーバー数が21.7個。これらは日本のアグレッシブさを表す数字と捉えることができそうだ。
ただしリバウンドは、やはり大きな課題として無視できない結果となっている。日本は1試合当たり平均34.7本(オフェンスでは9.7本)だったが、これはポルトガル代表の42.0本(オフェンスでは14.7本)に対し7.3本下回っていた。初戦の34-47は、前述のとおり「ウォームアップへのウォームアップ」とも捉えられるかもしれないが、最終戦でもオフェンス・リバウンドで6-21と差をつけられ、結果として最終スコアも2ケタのリードを維持できずに終わっているのだ。

 

個々には光ったポルトガルとの3試合


気になる12人の選考は最終段階。もちろんその予想など簡単にできるわけはないが、最後にこの3試合で際立ったパフォーマンスを残したプレーヤーを挙げておこう。
三好南穂(トヨタ自動車アンテロープス)は、3試合を通じて3Pアテンプト17本中9本(成功率52.9%)を成功させ大会MVPとなった。同じく3Pショットを3試合で11本中6本(成功率54.5%)の確率で決めたのが、大型のプレーヤーに対するディフェンスでも期待できるオコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)。最終戦で12得点、12リバウンドのダブルダブルを記録した赤穂ひまわり(デンソーアイリス)は、以前の合宿で話していた「リバウンドには必ず参加する」という言葉を実践できていた。
ペイントでしぶとく得点を重ね、リバウンドにもよく絡んだ長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)は、最終戦でチーム2位の15得点を挙げ世界を相手にも戦える期待感を大いに示した。
高田真希(デンソーアイリス)、町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)のベテランも、今回のチームに必要なベテランのリーダーシップを見せていた。高田は最終戦でゲームハイの16得点。1試合平均で6.7アシストという数字を残した町田は、ターンオーバー2.3が気になるもののアシスト・ターンオバーレシオでは2.9と悪くない。
東京オリンピック代表内定の12人が発表されるのは6月下旬の予定だ。16人のプレーヤーたちにとっては、今回の合宿が選考に向けた正念場となる。
なお、第6次強化合宿は28日(月)まで行われる予定。その後は7月5日(月)からあらためて第7次強化合宿に入り、本番直前の25日(日)までの同合宿期間に三井不動産カップ2021バスケットボール女子日本代表国際強化試合で最終調整へと進んでいく。

 

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