月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2021.06.22

大塚裕土、B3新進チームのアルティーリ千葉入り決定 - 独占インタビュー

 2021-22シーズンからB3に新規参戦するアルティーリ千葉に加わることが明らかになった大塚裕土。過去2シーズンを川崎ブレイブサンダースで過ごし、B1の頂点を目指したシューティングガードが、まったく異なる環境での再出発に臨む。
大塚はプロデビューから11年目を終えたシューティングガード。今年は川崎で天皇杯を勝ち取り、自身初の日本一を経験した。33歳。苦労人として知られるベテランの大塚は、まだまだ花形と言えるB1の舞台で頂点をねらえる男だ。しかし、トップ中のトップにおける経験を宝としてトロフィーケースに収め、まったく新しい眺めの旅に出る。それはなぜなのか。
「応援してくれる方々なら、誰もが気になるところですね(笑)」と大塚は答えた。
「前所属の川崎へ移籍する時には、『優勝』するためにという目標がありました。年間チャンピオンにはなれませんでしたが、天皇杯優勝という結果をキャリアで残すことができました。優勝への最後のトライだと思って2年間やりきりました」
大塚をほしがるチームは他にもあっただろう。今シーズンの出場試合は56試合。平均11分56秒の出場時間で3P成功率34.2%(54/158)と、ベンチから出てきて相手を脅かすことができるアウトサイド・シューターとして存在感を見せていた。
B1を離れることに、どこか後悔がない訳ではない…という。しかもB1クラブからのオファーも得ていた。「優勝を争うレベルでもっとコートに立てると今でも思っていますし、もちろん次の年(2021-22シーズン)もトライしたい気持ちはありましたけど、そこは若者に席を譲って(笑)」
数年前なら、B1というカテゴリーにこだわって移籍の判断をしていたのかもしれない。しかし33歳の今、大塚の心にはあらたな意欲が芽生えているようだ。「前々から代理人を通してアルティーリ創設のお話をいただいていて、いろいろと話しを聞いてみると、バスケ界を面白い展開にできそうだなと。セカンドキャリアについても、もちろん考えています。何をするかはこれから決めると思いますが、自分にとってはクラブの土台を作ったり、いろんなことを学んだりする点にモチベーションを上げることができたのが、最終的な決定要素です」
とはいえセカンドキャリアがメインの移籍ではないことを、大塚は宣言している。B1を離れる時間を長くはしないという決意があるのだ。「(アルティーリ千葉での最初のシーズンは)まずはB3を全勝優勝。B3だけど大丈夫? とかよく言われますが、リーグのルール上B3からスタートしないといけないというだけで、B3で何年もやるつもりはありません」というのが本人の回答。「ですので、B3を全勝で終え、翌年のB2に乗り込むこと。チームとしての初年度目標はそこですかね」
アルティーリ千葉としては頼もしい限りのコメントに違いない。新規参入チームにとって、ベテランのリーダーシップは欠かせない要素となるからだ。「個人としては、良い伝統をつくるために選手それぞれが考え行動できるように、先頭に立って導いてあげることがミッションだと考えてます。初年度の見られ方が一番強い印象を残すので、とても重要だと思っています」
千葉市を本拠にBリーグでの飛躍をねらうアルティーリにとっては、コート上のパフォーマンスはもちろんだが、オフコートでの地域とのコミュニケーションも含め、すべてが新たな体験となる。その状況で、チャンピオンシップのメンタリティーを持つベテランが、こうしたリーダーシップに対する意欲とともに加わることで、他のプレーヤーたちにも好影響を及ぼすことが期待できる。「コート上で必死に頑張る姿を見せるのはもちろん、フロント側とも協力して成果をあげること。どんな結果であれ応援されるクラブでないといけないと思っています」
すべてが新たなチャレンジになるのは大塚自身にとっても同じこと。千葉市には、「正直なところ、学生時代の友人が住んでるくらいで何も知らないんです(笑)」と明るく答える大塚は、実は千葉市について現在猛勉強中だという。「ある程度調べましたが、まだまだこれからです。サンロッカーズ渋谷に所属していたときは柏市に住んでいたり、Bリーグでも仲の良い千葉ジェッツの選手たちと食事するときには船橋市にも行ったりしていましたが、(千葉市は)その2つの都市とはまた雰囲気が違うなというのは感じています!」と、新たな生活を楽しみにしている様子だ。
ビッグネームが加わるアルティーリ千葉の今後の動向と、大塚をはじめとしたロスターや新任コーチなどに関する情報は、チーム公式サイトと公式SNSアカウントで随時公表されていく。楽しみに追いかけていこう。

 

2020-21シーズン、川崎でプレーした大塚はアルティーリ千葉入りを決めた(写真/©B.LEAGUE)

 

プロフィール
大塚裕土(おおつか ゆうと)
ポジション: シューティングガード
生年月日: 1987年8月23日
出身地: 北海道
身長/体重: 188cm / 85kg

略歴
東海大学付属第四高校
東海大学
TGI D-RISE(当時 : リンク栃木ブレックス下部チーム)
宮崎シャイニングサンズ
秋田ノーザンハピネッツ
サンロッカーズ渋谷
富山グラウジーズ
川崎ブレイブサンダース
2021年7月1日よりアルティーリ千葉に所属

 

☆アルティーリ千葉公式サイト: https://altiri.jp/
☆アルティーリ千葉公式ツイッター: https://twitter.com/altiri_chiba

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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