月刊バスケットボール6月号

バスケ男子日本代表、進化の確証を得たFIBAアジアカップ予選

強豪中国相手に第4Q終盤まで優位に立っていた男子日本代表にとって、FIBAアジアカップ予選は世界レベルでの勝ち方を学ぶ機会となった(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)

 

第4Q半ばまで強豪中国をリード

 

 バスケットボール男子日本代表が6月16日から4日間戦ったFIBAアジアカップ予選。最後の対中国戦に84-90で敗れた日本は、2勝2敗のグループB2位でフィリピンでの全日程を終えた。
しかしこの日の試合で日本は、格上と目される中国に対しティップオフ直後から優位に試合を展開した。16日の初戦では先行された上に試合開始から4分間得点できなかったが、この日は田中大貴(アルバルク東京)の3Pショットで先制。その後も金丸晃輔(シーホース三河)を中心に、第1Qは3Pショットが11本中7本成功と高確率で決まった。その多くがパスをうまくつなげた上でのフィニッシュで、チームとして良いリズムを生んでいた。良かったのは3Pショットだけでなく、比江島 慎(宇都宮ブレックス)が高層ビル街のような中国ビッグマンのコンタクトを受けながら、果敢なドライビングレイアップで得点を奪うシーンもあった。その比江島の得点で、日本は開始3分過ぎに10-4と早くも得点を2ケタに乗せた。

 この日の中国代表には、前回対戦した6月16日にはいなかったジョウ・チー(#15 ZHOU Qi、212cm/C)が加わっていた。ジョウは2016NBAドラフトの2巡目13位(全体43位)でヒューストン・ロケッツから指名されたビッグマンで、同年のリオオリンピックとFIBAワールドカップ2019にも出場していた。今予選会には、直前に目の手術を受けたため当初登録されておらず、フィリピン到着が17日となったため日本との2試合目がコン予選会初登場だった。
ジョウの加入で初戦以上の強敵となった中国代表。しかし日本はディフェンス面でも、高さを生かしてインサイドにボールを集めようとする相手に対し、巧みなポジションニングと活発なフットワーク・ハンドワークで堅守を見せた。
前半終始先行。45-41の4点リードで後半を迎えた日本が初めてリードを奪われたのは、第3Q残り4分55秒に55-57となった時点だ。ここでも崩れることはなく、粘り強く戦ってこのクォーター終了時点でも69-65とリードを保った。

 

富樫はこの日、チームハイの17得点だけでなく、良い流れを生み出すプレーメイクをしていた(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)


この時間帯は富樫の安定感のあるプレーメイクが大きな支えになった。力強く緩急の効いたドリブルワークでマッチアップしたディフェンダーを翻弄し、鋭いドライブからあるときはキックアウトして味方をお膳立て、あるときは自らレイアップを沈めた。3Pショットも決まり、最終的にはチームハイの17得点(ゲームハイのジョウ・チーの18得点に次ぐ点数)。持ち味を大いに発揮してチームを助けた。

 

※中国とチャイニーズ・タイペイのプレーヤー表記は[姓・名]の順で、アルファベット表記は大文字部分が姓です

 

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