月刊バスケットボール5月号

バスケ男子日本代表、チャイニーズ・タイペイの要注意プレーヤーをチェック

17日の対中国戦で3Pショット9本中7本を決めたチャイニーズ・タイペイのシェ・ヤーシュエン(写真:SBP/FIBA Asia Cup Qualifier)

 

 6月17日に行われたFIBAアジアカップ予選の中国対チャイニーズは、115-66の大差で中国が勝利した。日本はこの試合で敗れたチャイニーズ・タイペイと翌18日に対戦するが、決してこの結果から相手を軽んじることはできない。
この試合に中国は、対日本戦と同じスターターで臨んだ。フィールドゴール成功率は57.6%。リバウンドは52-30で、特にオフェンスでは日本との試合の倍となる20本を奪った。速攻からの得点も24-5(対日本戦は8-10で日本を下回っていた)。
圧倒的なのはペイントでの得点でなんと88得点を制限区域内で奪っている(チャイニーズ・タイペイは20得点)。セカンドチャンスでの得点も25-5だ。
こうしたデータは、チャイニーズ・タイペイに抵抗手段がまったくなかったかのような印象を与えるかもしれない。しかし、「2試合目だったので、昨日よりも良いプレーができました」とヘッドコーチのドゥー・フェン(DU Feng)氏が満足そうに語ったこの日の中国を相手に強烈に光ったプレーヤーがいるのだ。25得点を挙げた185cmのガード、シェ・ヤーシュエン(#10 HSIEH Ya-Hsuan)がその男だ。
チャイニーズ・タイペイのアシスタントを務めるチェン・チールン(CHENG Chih Lung)氏は22歳のシェを「大学生で、UBA(University Basketball Association)でプレーする優秀なシューター」と紹介した。シェの25得点は、その内容が素晴らしかった。ベンチスタートで19分15秒とさほど長くない出場時間だったが、その間に11本放ったフィールドゴールのうち9本が成功。しかもそのうち9本が3Pショットで、左右両コーナーと両ウイングから7本を沈めている。驚異的な77.8%の3P成功率を記録したシェの活躍を、チェンAコーチは「今日は我慢強く得点機を見出して、3Pショットもよく決めてくれていました」と評した。

 チャイニーズ・タイペイはシェだけを警戒すればよいということではない。今回のチームは12人すべてが、昨年2月に日本が対戦したチームとは入れ替わっている。「個々のプレーヤーにそれぞれ、健康上の理由や家庭の事情があり、入れ替えなければならなかったのです。コロナの問題も大きくなりましたから」とチェンAコーチは話す。

 入れ替わった12人で戦った初めての国際大会がこの日の対中国戦。これだけの大差になった要因には、そんなところもあったのかもしれない。その中でシェが爆発的かつ堅実なパフォーマンスを見せ、さらにチームとしての3Pショット成功率も35.3%とまずまずだった。

 日本のディフェンスがシェに好きなことをさせるようだと、チーム全体の勢いを持っていかれる可能性もあるだろう。そうなると試合自体の雲行きが怪しくなる上、19日に行う中国相手の最終戦にも悪影響を及ぼす。
シェの他にもチャイニーズ・タイペイには、15分に満たない出場時間で3Pショット4本中2本を成功させ11得点を記録したリー・ハンシェン(#4 LI Han Sheng、177cm/G)や、この試合で豪快なティップイン・ダンクを披露したガディアガ・モハメッド(#1 Mohammad Al Bachir GADIAGA、188cm/F)もいる。このダンクはFIBAアジアカップのトップ5プレーで1位に入った。出場時間は9分31秒とシェ以上に短かったが、ガディアガはその間に5得点(FG2/5、FT1/2)にリバウンドとアシストが2本ずつ、そしてスティールを1本記録している。

 

※中国とチャイニーズ・タイペイのプレーヤー表記は[姓・名]の順で、アルファベット表記は大文字部分が姓です

 

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