月刊バスケットボール6月号

【福岡女子インターハイ予選】福岡大附若葉が4年ぶりに夏の切符を奪還!

 6月6日、福岡県ウインターカップ予選の女子決勝戦が行われ、福岡大附若葉が精華女を65‐59で破って優勝を飾った。

 

 

 体育館をすぐ出たところにある外廊下で、優勝監督の池田憲二コーチを取材している間、背後からは福大若葉の選手たちの嬉しそうな歓声が終始聞こえていた。興奮がいつまでも冷めやらなかったのも無理はない。インターハイ出場は2017年以来で、つまり現役生にとっては初めての夏の切符。しかもここ数年、何度も苦汁をなめさせられてきた女王・精華女を破っての優勝だ。

 

 決して楽な優勝ではなかった。「2回戦から負けそうな場面がいっぱいありました」と池田コーチ。実はエースの#5加藤愛香はケガでしばらくコートを離れており、今大会の準決勝から復帰したばかり。エース不在だった2回戦は筑紫女学園に63‐58と辛勝で、復帰した準決勝も東海大付福岡に3点差(71‐68)で何とか競り勝つ形だった。

 

 

 そして迎えた精華女との決勝戦。前半は堅い守りから相手のお株を奪うような速攻を出して36‐25と福大若葉が主導権を握ったが、加藤のファウルトラブルもあって後半失速。精華女はこの好機を見逃さなかった。アグレッシブに攻める#4垣花明里を中心にじわじわ追い上げ、4Q序盤には一時逆転に成功する。ただ、ここで踏ん張ったのが福大若葉の下級生たち。シックススマンの役目を担った大物ルーキー#11東紅花や、大黒柱の2年生#15柿元舞音の値千金のシュートもあり、最後は福大若葉が再び流れをつかんで6点差でタイムアップ。3学年が力を合わせて手にした、価値ある勝利となった。

 

 

 「本当はもっと安定して戦いたいのですが…。やはりコロナ禍で練習試合やカップ戦がないので、子どもたちが試合の場面場面で揉まれていない」と池田コーチが言うように、自分たちのミスやファウルで相手に流れを奪われる時間帯も多かった福大若葉。それでも、3年生の加藤いわく「自分は小さい頃から親の教えで、マイナスのことを考えるよりプラスのことを考えるようにしています。試合中も、どんなに流れが悪くなっても『みんなで声を出そう』とか『今誰がやると?』と聞いて『自分たち!』って言わせるとか、プラスの声かけをたくさんしていました」。苦しい時間帯でも明るい雰囲気を絶やさなかったプラス思考が、勝利の女神を微笑ませたようだ。

 

 池田コーチは今後に向けて「もっと走れるチームにならないと、このサイズですから全国ではどことも戦えない。何とかもう一回修正して、全国で活躍できるようなチーム作りをしたいと思います。インターハイまでには前十字靭帯をケガしていた選手も2人帰ってきますし、全国では暴れたいですね」と夏を見据えていた。

 

 

敗れた精華女は大上コーチの下、冬の雪辱を目指す

 

○取材・文/中村麻衣子(本誌編集部) ○写真/山岡邦彦

 

(月刊バスケットボール)



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