月刊バスケットボール5月号

【中部大第一】全国屈指の大型チームが機動力を鍛え上げ どんなタイプにも対応できるチームに

 

3月末に行われた京都交歓大会で他チームを圧倒して優勝するなど、新チームとしてさい先の良いスタートを切った中部大第一(愛知)。下級生から経験を積んできたメンバーがいよいよ最上級生となり、今年はいわば“勝負の年”だ。4月中旬、チームを訪ね、常田コーチや選手たちに懸ける思いを聞いた。

 

多彩なスタイルを準備し

相手に柔軟にアジャストする

 

 昨年と同じ轍は踏むまい――。今年の中部大第一は、そう固く誓って動き出した。なぜなら、昨年のウインターカップは1回戦で前年大会3位の強豪・北陸と当たり、思うように力を出せないまま初戦敗退。しかもこの年はコロナ禍でインターハイや国体が中止され、ウインターカップには推薦枠での出場となり県予選にも出場していなかった。つまり4月以降、たった1試合しか公式戦を戦わないままシーズン終了となってしまったのだ。

 

 

 

 だからこそ、新チームの選手たちは「去年の3年生の分まで」という言葉をよく口にした。昨年はスタメンの4人が当時2年生という下級生チーム。無念さをコートで味わった張本人たちだからこそ、引退した先輩たちへの申し訳なさ、雪辱の思いは並々ならぬものだった。

 

「昨年と同じことをしても同じ結果になる」(常田健コーチ)と、新チームが始動して求められたのは変化とさらなる進化だった。「昨年は限られた時間で、最低限のチーム作りしかできなかった」という反省を受けて、常田コーチは練習の方向転換を図った。具体的には「基礎体力の向上や個人のスキルアップための練習を増やした」と、原点回帰で一から土台を築くことに。特に基礎体力に関しては、昨年は免疫力の低下を恐れてあまりハードな練習ができなかった。だが、今年は練習中も常にザムストのマウスカバーを着用するなど、できる限りの感染対策をした上で、練習の強度を上げていくことにしたのだ。

 

 

 

 チーム編成にも変化があった。「2パターンのチームを作っています」と常田コーチ。まずメインとなる5人は、ケガ人などで多少入れ替わることはあるが、基本的には昨年のスタメン4人に2年生の坂本康成を加えたガード以外190cmオーバーというビッグラインナップ。またそれだけでなく、サイズを少し下げてもアグレッシブにディフェンスし、機動力を最大限まで高めたもう1パターンのチームも準備することにしたのだ。その裏には「さまざまな攻防を試して、どんな相手が来ても柔軟に対応できるだけの準備をしていく」という狙いがある。おのずと昨年試合に出ていないメンバーにもチャンスが与えられることになり、選手たちは練習中から目の色を変えて取り組んでいる。

 

 

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カギを握る新2年生と

熱きリーダーの存在

 

 今年のチームは、誰か一人に的を絞らせないことも大きな強みだ。エースとして周りから信頼されるPFの田中流嘉洲は、派手なプレーで引っ張るというよりは合わせやリバウンド、速攻といった献身的なプレーで仲間を支えるタイプ。だからこそ相手が徹底して田中を守り切っても、攻撃的ガードの谷口歩と大黒柱のアブドゥレイ・トラオレによるホットラインや、U19日本代表候補にも選出される福田健人の3Pシュートは止まらないだろう。各ポジションに攻められる駒がそろっており、相手にとっては非常に厄介だ。

 

 

 加えて、昨年はあまり日の目を浴びなかった2年生たちもチームの起爆剤となる可能性を秘めている。中でも坂本康成は、昨年からポテンシャルを買われ交代要員として経験を積んできた2年生エース。195cmの長身ながら2番ポジションもこなせるオールラウンダーで、特にシューターの少ない今年はアウトサイドシュートが求められている。3月末に行われた京都交歓大会でも、坂本は「リバウンドやディフェンス面はまだまだでしたが、練習してきた遠めの3Pシュートは何本か決められたので良かったです」と課題と収穫を得た様子だった。

 

 また、楽しみな存在として名前を挙げたいのが2年生の小田晟と下山瑛司。2人とも昨年のウインターカップはケガでメンバー外となったが、もともと中学時代から高いスキルを培ってきた力のある選手。小田はステップワークのうまいスラッシャー、下山は走力抜群の攻撃的なガードで、入学以来フィジカルも強くなり激しいディフェンスで相手を苦しめることもできる。高校での経験値は浅いが、攻防でカギを握る存在となりそうだ。

 

 

 

 経験豊富な3年生たちの安定と、怖いもの知らずの2年生たちの躍動がかみ合ったとき、大きな爆発力を発揮しそうな中部大第一。またもう一人、今年のチームを語る上で外せないのがキャプテンの黒川才徳だ。全国ミニバス大会で優勝するなどキャリアのある選手で、そのリーダーシップは誰もが認めるところ。そんな黒川は股関節変形という難しいケガにより「バスケットは高校で終わり」と言う。だからこそ「日本一になる最後のチャンスの年ですし、優勝に懸ける思いは誰にも負けない」と黒川。熱き闘将を中心に大所帯のチームが一枚岩と慣れば、その力はさらに強力なものとなるだろう。

 

 

中部大第一が掲げているスローガンは『絆 支』。昨年の悔しさを糧にし、固い絆と支え合いで悲願の日本一を勝ち取れるか、今シーズン注目のチームだ。

 

 

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