月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.06.01

八村 塁歴史的大活躍、崖っぷちウィザーズの今PO初勝利に大貢献

後がない第4戦で大活躍を見せた八村(写真をクリックするとウィザーズ公式日本語ツイッターのインタビューが見られます)

 

 イースタンカンファレンス第1シードのフィラデルフィア・セブンティシクサーズとのプレーオフ・ファーストラウンドに臨んでいるワシントン・ウィザーズが、シリーズ第4戦目にして122-114で初勝利を手にした。0勝3敗であと1試合でも負ければシーズン終了という瀬戸際で臨んだ試合。しかしウィザーズは是が非でも手にしたかった1勝をつかみ取り、八村 塁はキャリア初のNBAプレーオフ勝利という新たな一歩を印した。日本人プレーヤーとしては史上初めての快挙だ。
しかも八村は20得点、13リバウンド、2アシストにスティールとブロックも1本ずつ記録。シューティング関しては、12本のフィールドゴールアテンプトのうち8本を成功させ66.7%、3P成功率も50%(6本中3本成功)という非常に堅実な数字を残した。得点はブラッドリー・ビール(27得点)に次ぐチーム2位、リバウンドはキャリアハイであり、かつラッセル・ウエストブルック(21本)に次ぐこれもチーム2位と、まさしくウィザーズの「ビッグスリー」の一角と呼ぶにふさわしい内容だった。
これらの数字を並べただけでも驚くべき内容だということがわかるが、実際の試合の流れの中で展開に大きな影響をもたらす重要なプレーをいくつもやってみせていた。その一つがウィザーズの60得点目となったプレー。第1クォーターから2ケタの点差でビハインドという窮地に立たされたウィザーズだったが、前半残り1分を切って58-58の同点に追いつき、さらに勢いづこうという場面でだった。
183cmとNBAでは小柄なガードのイシュ・スミスがシクサーズの得点源の一人であるトバイアス・ハリス(203cm)のレイアップをブロック。そのこぼれ球を拾ったウエストブルックが、トランジションですかさずフロントランナーとなった八村にパスを送る。八村はこのボールをファンブルしかけたが、左手でコントロールして空中に振りかざし、豪快なダンクでフィニッシュした。これがこの試合におけるウィザーズにとっての初リード。後半の戦いに向けチームに勢いをもたらす一撃だった。
また、113-111の2点リードで第4Q残り1分16秒に飛び出した速攻でのダンクは、その前のポゼッションでオフェンス・リバウンドを2度奪われ、3度目のショットが外れたこぼれ球を、これもウエストブルックがフロントランナーとなった八村を見つけたもの。ここで得点を許していたら…という危機から一転115-111と2ポゼッションのリードにしたこのプレーで、ウィザーズは勝利に向けて良い流れをつかむことができた。
さらに決定的だったのが115-112で迎えた残り45.6秒のプレー。ビールがトップからゴールにアタックし、ドライブ&キックでボールが右コーナーの八村の手元へ。ワイドオープンで狙った3Pショットはみごとにスウィッシュとなり、118-112とウィザーズのリードは6点差に広がった。最終的なスコアは122-114だが、このプレーがシクサーズの息の根を止めたと言っていいだろう。
この勝利の意味は言うまでもなくウィザーズにとって大きい。前半半ばにシクサーズのジョエル・エンビードが膝の痛みを訴え離脱したこともあり、第5戦以降にどのような展開が待っているか、まったく予想がつかない状態となった。

 ウィザーズ側はこの日、ウエストブルックが前述の21リバウンドに加え19得点、14アシストでトリプルダブルといつも通りの奮闘を見せており、ビールも3Pショットこそ不振(シリーズ4試合で25本中成功が5本のみ)だが、得点自体は獲れている。シューターのダービス・ベルターンスがこの試合中に右ふくらはぎの張りを訴えて離脱した点は大いに心配だが、フィラデルフィアで行われる第5戦をしのげたら、その後の展開は本当にわからない。
この試合ではウィザーズは、終盤ベン・シモンズにファウルゲームを仕掛け、それが奏功していた。シモンズはこのシリーズの最初の3試合でフリースロー9本すべてを外すという思わぬスランプに陥っていたのだ。第4Q終盤にボールがシクサーズに渡ると、ウィザーズはすぐさまシモンズにファウルし、フリースローを打たせる展開。シモンズは第4Qに8本のフリースローを得たが、そのうち成功は4本に終わりウィザーズの術中にはまってしまった。

 

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