月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.05.04

堅調な八村 塁(ウィザーズ)、プレーインT出場権争いで高まる存在感 - ネイト・ビョークレンHC(ペイサーズ)も警戒

 

 直近10試合で8勝2敗と好調なワシントン・ウィザーズで八村 塁も堅調な活躍を見せている。試合中のアクシデントで左ヒザに痛みを抱え4試合を欠場したが、復帰後の4試合すべてで2ケタ得点を記録し、平均13.5得点とシーズンアベレージにそん色ない得点力を示している。しかもフィールドゴール成功率55.9%、3P成功率60.0%、フリースロー成功率86.7%とショットの確率に関してはいずれもアベレージ(フィールドゴール成功率47.2%、3P成功率32.8%、フリースロー成功率76.9%)を大きく上回っている。

 ウィザーズが好調な要因は、ラッセル・ウエストブルックとブラッドリー・ビールという頼りがいのあるベテランの活躍を筆頭に、控えガードのハウル・ネト、イシュ・スミスらの安定した貢献ぶり、ロビン・ロペス、アレックス・レン、ダニエル・ギャフォードの3人のセンターがお互いを刺激し合いながら連日好プレーを披露していることなどいくつも上げられる。その中で八村の堅調ぶりも一つの重要な要素となっている。八村の2ケタ得点は、それがウエストブルックのトリプルダブルやビールの大量得点とともに記録されることで、相手にとっては数字以上に大きなダメージとなる。また、得点以外でも八村は要所で好ディフェンスを見せ、終盤ビールにボールが集まる状況下では体を張ったリバウンドでチームに優位な時間帯をもたらす場面も増えている。
そうした八村の活躍について、日本時間5月4日(アメリカ時間3日)のウィザーズ対インディアナ・ペイサーズ戦試合前会見で、対戦相手のペイサーズを率いるネイト・ビョークレンHCに印象を聞いてみた。両チームはプレーイン・トーナメント出場権争いでペイサーズ(30勝33敗)が9位、ウィザーズ(29勝35敗)が10位という直接的なライバル関係であり、この試合は両チームともに落とすことができない一戦。その対戦を前にビョークレンHCは、八村に対する高い評価とともに、ウエストブルック、ビールとの連係の中での八村の存在に高い警戒感を持っていることを以下のように明かしてくれた。

 

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「(八村を)非常に高く警戒し準備しています。ビール、ウエストブルックと一緒になってかかってくる中で、彼はよく使われていますね。スクリーンをし、スクリーンを使ってよいスポットに出てきて、ミスマッチをうまく突き、と言う具合で、非常に頭の良いプレーヤーです。駆け引きやどこに行けばよいかを良く知っているし、ディフェンダーとしても優れ、大きくてリバウンドも強いときています。将来有望ですし、現段階でも素晴らしいキャリアですね」
“Very highly in our care level, very highly on our board and on our preparation. The way he works with (Bradley) Beal and (Russell) Westbrook out there. They use him a lot in their actions. They really do. You know the way, well, he’ll screen or slip out of screens. He’ll get to spots. They look to…, look for mismatches. He does a really good job. He’s a really smart player, know how to play, know how to space. He’s a good defender, has good size, can rebound. So he’s got a…, he’s a very very bright career ahead of him. He’s already had a …(音声が途切れている部分) so far”.

 

ビョークレンHCはウィザーズのチームプレーにおける八村の存在感に高い警戒感を示していた(写真をクリックするとインタビュー江尾像を見られます)


ビョークレンHCはこのやり取りとは別に、ウエストブルックについて「どのポゼッションも全力でぶつかってくる」とも話していた。強烈な切り込み隊長が発揮するリーダーシップの下で、八村の個の力がビールの爆発力とともに、ウィザーズに流れを引き寄せる相乗効果を生み出しているとの理解を持っているようだった。
ペイサーズとウィザーズはこの日の試合を含め今週2度対戦する(もう1試合は日本時間5月9日)。今シーズン両チームはすでに一度対戦しており、その試合ではウィザーズが132-124で勝利しているので、もしウィザースがこの日の試合に勝てば、両チームがタイとなった場合のタイブレーカーを手にすることとなるが、いずれにしてもこの2試合の結果はプレーイン・トーナメントへの可能性を大いに左右することは変わりない。それだけに2度の“直接対決”における八村のプレーも普段以上に大きな意味を帯びてきそうだ。

 

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取材・文/柴田 健(月バスドットコム)
(月刊バスケットボール)



タグ: NBA 八村塁

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