月刊バスケットボール5月号

大阪薫英女学院、2年生キャプテンを軸に主体的に取り組む集団を目指して

2年生キャプテンを中心に

全員が自覚と責任を持ったチーム作りを

 

昨年のウインターカップでは3回戦で桜花学園に敗れた薫英は、新2年生の都野七海をキャプテンに据え、スタートを切った。2年生キャプテンというのは珍しいが、そこにはここからの2年間をかけて都野を真のリーダーとして育てていくため、そして3年生たちには都野をサポートしつつ、プレー面でより力を発揮してほしい。そんな思いがあった。

 

 

2年生ながらキャプテンに抜擢された都野。リーダーとしての成長に期待したい

 

3年生もそれを理解している。「キャプテンを2年生に任せてしまって、3年生が頼りない部分はあります。でも、そこは試合の中で3年生が主体となって取り組むことを意識しています」と宮城楽子。同じく3年生の佐藤双羽も「昨年は先輩を頼ってしまっている部分があったり、『先輩がいるから』っていう安心感があったんですけど、今年は自分が3年生なので後輩に声をかけることを思って心がけています」と、最上級としての自覚を持ち始めている。

 

そんな先輩に支えられている都野自身も「3年生に気を遣うところがあるのかなって思ったんですけど、いろいろとサポートしてくれて、分からないところも教えてくれるので、そこまで大変さはない」と言う。

 

佐藤(写真左)がインサイドの要として薫英を支える

 

そんな事情もあるため、今年はもう一つの独特な試みをおこなっている。それは『全員が何かのリーダー』になること。安藤香織コーチは「例えば宮城がディフェンスリーダー、佐藤は走りのリーダー、ほかにもトレーニングリーダーにスカウティングリーダー、サポートリーダー、お掃除リーダーとか。自分の与えられた仕事をしっかりと全うすること、一人一人が自分の仕事を全うした先に日本一があるんじゃないかということをテーマに、今年はスタートしました」と、その意図を説明する。

 

遠征などに行けない分、今年のチームは例年に比べて経験値が圧倒的に足りていない。「本来であれば、遠征先での行動の仕方やどういうルーティンで過ごしていくのかというのを先輩たちから受け継いでいくものなのですが…。今年の3年生でもそういった経験は多くないし、2年生は昨年、ほとんど遠征もままならなかったので、そういった経験はウインターカップだけでした。それに遠征先で1日2試合をこなすとなると、どういうタイミングでアップをするのかとか。そういう経験もなかったので、継承すべきものが途切れてしまっているような感じ」と安藤コーチ。だからこその全員リーダー制であり、都野を中心に全員が自覚と責任を持ってチームを作り上げていく。これが今年の薫英のコンセプトなのだ。

 

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足を使った積極的なディフェンスから

スピードを生かしたアップテンポなバスケットを展開

 

戦術面では昨年と同様、アップテンポなバスケットを目指していくこととなる。「今年のチームも昨年と同じくサイズが大きくないので、ディフェンスで前から当たって、トランジションでスピーディーに点を取っていくスタイルで戦っていきたいです」と都野。昨年からスターターとして活躍した都野、宮城というスピードのあるバックコートコンビと移動力のあるインサイドの佐藤の3人が今年の薫英の軸だ。

 

ディフェンスの面でも「ハーフコートに入ってしまうと高さでやられてしまうので、少しでも前からプレッシャーをかけてボールをもらわせるのに労力をかけさせながら、ハーフコートでは5人全員でしっかりと守ることがテーマになってきます」と安藤コーチ。持ち味のトランジションゲームを最大限に生かすべく、足を使って粘り強くディフェンスをできるかどうかが新チームの生命線となりそうだ。

 

3年生になったことで宮城にも意識変化が見られている

 

課題は、ペイント内でのフィニッシュとアウトサイドシュートの確率アップだ。安藤コーチも「高さのあるチームと対戦するときはアウトサイドからの得点力が重要になります。昨年のウインターカップでも外が1本、2本入っていれば流れは変わったかもしれません。実際に、うちと同じくサイズの大きくない東京成徳大さんはかなり外の確率が高かったです。選手たちには『外の3点と中の3点(2点+バスケットカウントの1スロー)』と言っています。やられたらやり返す得点力というのを新チームが始まって以降、意識して言うようにしていますね」と選手たちにその2点を求めている。

 

 

連携面もこれからで「まだまだ5人でプレーするというところができていません。普段は『今日はこの練習ね』という感じで分解練習をしているので、できるんですよ。でも試合となるとボックスアウトもしないといけないし、速攻も出さないといけないし、アーリーも、ピックの使い方もあれば、守り方もって。そういう一つの流れになるとできない部分が多いし、一つのミスから一気に流れを持っていかれることもあって、試合の中で修正していく力はまだありません」と安藤コーチ。

 

 

薫英が目指すのは変わらず、全国制覇ただ一つだ。まだまだ道のりは遠いが、一つ一つ確実に課題をクリアし、チームとしての完成形が見えたその瞬間、全国制覇が現実味を帯びてくるはずだ。

 

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