月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.04.07

渡邊雄太(ラプターズ)、ウィザーズ戦でラッセル・ウエストブルックを苦しめる

ウィザーズとの試合での渡邊は特に第4Qにディフェンス面で良い仕事をした

 

 念願の日本人対決が残念ながら実現せずに終わったトロント・ラプターズ対ワシントン・ウィザーズの一戦だったが、この試合は見ごたえのある一戦となった。

 試合前の会見では、日本のファンのみならず両チーム関係者も楽しみにしていた渡邊雄太と八村 塁のマッチアップが八村の故障欠場(右肩の張り)で見られなくなったことで、ニック・ナースHCも残念そうに「今夜も見られなくなりましたね…、ルイは欠場です(We can’t have the rematch again tonight. No, no…. no, no…. Rui’s out tonight)」と話していた。渡邊とも話したと言い、「ユウタは(ウィザーズとの試合当日に)私がロッカールームで最初に顔を合わせた相手だったんです。『念願の日本人対決はならずだね』と声を掛けたら彼は『そうですね…』と。もう一度機会がある。確か5月6日だったか、みんな見たがっているから二人とも健康でいるようにと伝えました」とのことだった。

 

対ウィザーズ戦試合前会見でのナースHC。日本人対決が実現しないことを残念がっていた(写真をクリックするとインタビュー映像を見られます)


この部分についてナースHCの一連の英文コメントは以下のような流れだった。
I did, actually. I came in, Yuta was the first guy I saw coming in the locker room tonight and said “Yuta!” and the same thing I’m doing to you I said “we can’t have the long-awaited match-up.” He said I know and I said “well, we’ve got one more chance.” I think it’s like May sixth or something like that. I said “you guys both be healthy that night because we’re gonna watch it go down”
ナースHCはさらに、「今日も。できるだけ長く出てほしいと思っています。いいプレーを続けて意義のある時間にしてほしいですね(I’m going to get him out there and get him as many minutes, hopefully plays well. It’s again which should be a chance for Yuta to eat up some valuable, important minutes tonight and hopefully he’ll take advantage of them.」と話し、実際に渡邊は今シーズン5番目に長い17分39秒の出場時間でダンク1本、3リバウンド、2アシスト、1スティールに加えたびたびディフェンスで好プレーを見せた。
75-86の劣勢で迎えた第4Qにはスタータとして登場。この日3Pショットが好調だったギャリソン・マシューズに厳しくマッチアップし、ダービス・ベルターンスの3Pショットにしぶとく食らいついてミスを誘うなど、そこからの追い上げに大きく貢献した。

 この時間帯にはラッセル・ウエストブルックとのマッチアップもあった。点差を詰めて接戦に持ち込む過程でMr.トリプルダブルと対峙したのはナースHCの指示。試合後の会見でハースHCは「ユウタは良いディフェンダーですから。長身で頑張るし、フットワークが良いので相手の正面に立ちはだかることができます」とその理由を説明した。状況としても「ディアンドレ・ベンブリーのファウルが5つで、いったんウエストブルックから外したいところでした。OG(アヌノビー)は長く続けてプレーしていたので一息つかせたかったし、それで2分程度、90秒程度でしょうか、その時間帯ができました」とのことで、重要な局面で大きな仕事を任せられるディフェンシブ・スペシャリストとしての力量が生きたと言っていいだろう。

 この部分に関するナースHCの英文コメントは以下のとおりだった。
“Yuta is a very good defender as you know, right. He’s got some length. He’s got some efforts He’s got some good feet. He’s able to get his body in front of people. So Bembry picked up his fifth. So we moved Bembry off him and put OG on him. And I had that brief little about two-minute run or 90-second run I just wanted to give OG a little rest to bring him back to close ‘cause he’s played a long stretch so…. Then so I went to Yuta. And Yuta did a good job, played good. He had a good game tonight, really good game. He had two points and plus eighteen on the plus-minus so he was effective with this group out there tonight.”

 試合は最終的に、ゲイリー・トレントJrが劇的なブザービーターとなる逆転3Pショットを成功させ103-101でラプターズが勝利した。ヒーローとなったトレントJrは試合直後のインタビューで、劣勢を跳ね返したチームメイトたちの奮闘を大いに称えていた。「セカンド・ユニットの仕事が素晴らしかったです。マラカイ(フリン)、OG、AB(アーロン・ベインズ)、ユウタ、D(ベンブリー)も含め、みんな頑張りました。彼らが僕らに勝つチャンスをくれたんです。勝つ気にしてもらいました(Second unit did an amazing job. You know Malachi, OG, AB, Yuta, D, you know everybody went out there and played hard. They got us back in the game and they willed us to win.)」
ラプターズの次なる対戦相手であるレイカーズ(日本時間4月7日に対戦)は、レブロン・ジェームス、アンソニー・デイビス、アンドレ・ドラモンドといったオールスター・クラスが故障に悩まされている。しかし、彼らが不在としても十分強力だ。この試合前時点での成績は30勝19敗(ウエスタンカンファレンス5位)で、カンファレンスのトップに立っていた一時期の状況とは違うとはいえ、直近5試合は3勝2敗と持ち直している。
20勝30敗でイースタンカンファレンス11位のラプターズは、プレーオフ進出に向けこのレイカーズとの試合も勝ちたいところ。また、レイカーズにはかつてメンフィス・グリズリーズで渡邊とチームメイトだったマルク・ガソルがいる。勝敗の行方とともに、2人の姿をコート上で見られるかどうかも見どころの一つになりそうだ。

 

この日ブザービーターでヒーローとなったトレントJrは、ラプターズ加入後非常に好調だ


取材・文/柴田健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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