月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.03.30

渡邊雄太(ラプターズ)のプレーをニック・ナースHCが絶賛 – 日本時間3.30対ピストンズ戦

3試合ぶりの出場となったピストンズ戦で渡邊は4得点、4リバウンド、2スティールを記録した

 

 直近2試合で出場機会を得られなかった渡邊雄太(トロント・ラプターズ)が、日本時間3月30日(アメリカ時間29日)の対デトロイト・ピストンズ戦第4Qにコートに立ち、好プレーを連発させた。試合は第1Q半ばからピストンズに主導権を握られ、最後まで十分な反撃をできずに104-118で敗れたものの、渡邊が出場した第4Qに限っては29-26と優位な展開をできており、計9分37秒プレーした渡邊自身もその中で4得点、4リバウンド、2スティールと結果を残した。ラプターズは連敗が3に伸び、直近16試合が2勝14敗という重度の不振に陥っているが、渡邊のプレーぶりは明るい要素だ。


第4Qスタート時点で状況としては75-92と大きくリードされており、渡邊の起用を「ガーベッジ・タイムだから」といった否定的な見方もできるのかもしれない。しかし実際、17点差は現代NBAでは12分あれば十分挽回可能な得点差だ。その状況で出場機会を得られたのは、やはりナースHCの信頼や期待があってのものであり、活躍できたことで今後の出場機会獲得にプラスになるとみてよいのではないだろうか。


試合後の会見でニック・ナースHCは、渡邊の活躍について笑顔で以下のように話した。「(ユウタは)良かったです。普段のように非常に精力的にプレーしてくれました。彼の奮闘がいくつもの好プレーを生み出しでくれたんです。オフェンス・リバウンドが2本、ディフェンス・リバウンドが2本。うまく守っていたし、その上に2度ゴールを決められて良かったです。本当にいい感じでした。しばらくあまりプレーする機会がなかったのに、ベンチからコートに入ってきてあれだけいいプレーができるのはしっかり準備ができていた証しで、素晴らしいことです。今夜は本当に良かったですね」

 

 ナースHCは渡邊のオフェンスに関して、3Pラインとゴールの間でのさまざまな局面に対応していかに有効な攻め方ができるかを課題に挙げており、その克服をあと押ししたいとも述べていた。今日の4得点はいずれもペイント内で、特に2本目は身長191cmのフランク・ジャクソンとのミスマッチをついてインサイドにカットし、マラカイ・フリンのアシストを受けて成功させたレイアップ。その1本を含む渡邊のオフェンスについてナースHCは、「彼はゴールに向かって攻め込み、1対1のような状況になって決めた場面が確か2回ありましたね。その局面で有利に持っていかないといけないわけですが、今夜はそれを2度ともやってのけました。ほかに良い仕事をたくさんしてくれていただけに、決めてくれて良かったです。ドライビング・レイアップみたいなのを2-3本決めてくれたら、彼はコート上でいっそう価値のある存在になりますからね」との答えだった。

 

対ピストンズ戦後の会見でナースHCは渡邊を絶賛した


渡邊が成功させたショットのうち最初の1本は、実際にはオフェンス・リバウンドのこぼれ球を拾ってのプットバックだったが、いずれにしても目前にやってきた機会をつかんだことには意義があるだろう。ナースHC自身による英語の回答は以下のようなものだった。


“He was good. I thought he played with tremendous energy. You know, he normally does. But he was not only…, his energy was making plays. He got a couple offensive rebounds. He got a couple defensive rebounds. He was guarding well. It’s nice to see him, you know, get a couple buckets as well on top of that. But he looked good out there…, you know he hadn’t played much lately, so to come in and to come off the bench and kind of played that well is a credit to him staying ready etc. But he did…, he looked good out there tonight.”


“Well, you know, I think again opportunity a little bit like we talked about. He did make a drive down there and again. It was kind of one-on-one and he went in and finished it, you know, on I think, two occasions so that’s what’s there. He’s gotta capitalize on what’s there. And he did a couple times tonight. It’s nice to see because he did a lot of other things. So if you just chip in a few of those driving lay-ups etc., that kind of makes him even more valuable out there.”


それにしても、通算成績18勝29敗(勝率38.3%)でイースタンカンファレンス11位というラプターズの現状は苦しい。この日敗れた相手のピストンズは同カンファレンス最下位(通算成績13勝33敗)のチームであり、勝っておきたい相手だったはずだ。ナースHCは試合前に、「思ったよりもプレーオフが遠くない」と皮肉っぽい笑顔を見せながら話していたが、主にコロナのパンデミックとトレードによるロスター変動の影響により抱えてしまった“借金”11を4月以降どれだけ取り返し、どこまで順位を上げることができるだろうか。


取材・文/柴田 健(月バス.com)



PICK UP