月刊バスケットボール5月号

【全国ミニバス2021】小学生離れした超絶スキルで他を圧倒した小川颯翔(おきのスポーツ少年団)

おきのスポーツ少年団(宮城)#4

小川 颯翔(おがわ はやと/6年/170cm)

 

 

『最近の小学生はみんなスキルが高くてうまいなぁ』

 

 全ミニを取材していて筆者が感じることだ。大会3日目、男子初日のEコート第一試合で一人の選手に度肝を抜かれた。170cmとコート上でも大柄な選手が、とても小学生とは思えないハンドリングスキルと突破力で相手選手を圧倒していたからだ。

 

 彼の名は小川颯翔。宮城県代表で初出場のおきのスポーツ少年団でキャプテンを務めるプレーヤーだ。その小川は試合開始早々にマークマンを鋭いクロスオーバーでかわしてペイントに侵入。2人、3人とヘルプに寄ってきた相手選手をものともせずにバスケットカウントをねじ込んだのだ。

 

 その姿は中学時代に日本代表候補に選出された田中力(IMGアカデミー)を思い起こさせるようで、まさに小学生離れした圧倒的な技術レベルだった。試合は小川の攻防にわたる大活躍もあったおきのスポール少年団が55-42で富山県代表の砺波東部レッドストロングスを撃破。試合開始から終了のブザーがなる瞬間まで、この試合の主役が小川だったことは明らかだった。

 

 試合後に小川に話を聞き、さらに驚いた。語り口調も小学生離れした軽快なものだったからだ。試合を振り返って「宮城県内で戦って勝てるところが全国レベルになると勝つためには少し工夫が必要です。ディフェンス力もオフェンス力もレベルが上がるほどに高くなるので、今のままではダメだとさっきの試合で分かりました。2試合目以降ももっと工夫していかないと勝てないなと感じました」と冷静に分析していた。

 

 

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 最終的に2桁差での勝利となったが「1Qとかは自分たちのプレーができずにイライラしならがプレーしてしまいました。でも、この大会が自分がこのチームで戦える最後の大会だから楽しんでやろうと思って後半はプレーしました。楽しんでやるからこそプレーが上手くいくんだなと思いましたし、それで点差を離すことができたと感じています」と、小川。

 

 この大会で加藤昌志コーチに代わって指揮を執る森政信アシスタントコーチは「彼のことは小学2年生の頃から見ているんですけど、当時は本当に何にもできない選手でコートの端っこでウロウロしているような感じだったんです(笑)。でも、彼自身が努力を重ねて、積み重ねてきたものも見てきましたし、彼自身の努力の成果が生んだ成長だと思います。僕らが特別何か教えているのではなくて、練習ではない部分で向上心をもって取り組んだことが今の颯翔を作っているんだと思います」と小川を評価する。続けて「彼の一番の長所は人柄だと思いますね。たとえコーチたちがいなくても颯翔が僕の思っていることを全て言ってくれるので助かっている」とも。

 

 向上心を絶やさない姿勢は試合のハーフタイムにも表れていた。この試合でフリースローが思うように決まっていなかった小川は、一人黙々とレーンに立ってフリースローを打ち続けていた。派手なドリブルワークや得点だけでなく、こうした細かなスキルにも目を向け、一度コートに戻れば味方をうまく使ったアシストなども光る。

 

 この選手が中学、高校と順調にスキルを磨いていけば、いつかは日の丸を背負う日も来るのかもしれない。それほどの期待を抱かせる圧巻のパフォーマンスを見せた。

 

※全国ミニバス大会の模様は4月24日発売の月刊バスケットボール6月号で!

 

写真○JBA

取材・文○堀内涼/月刊バスケットボール



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