月刊バスケットボール5月号

中学(U15)

2021.03.29

大舞台で弾けた“沖縄魂”琉球ゴールデンキングスU15が4強入り!【B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2021】

「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2021」。全国のBユース35クラブが頂点を競う戦いが、東京体育館で切り広げられている。ここではその中から注目の試合を紹介していく。

※参加辞退等があり、今大会の出場クラブは34

 

 大会2日目を終え、ベスト4が出そろった。その一角が琉球ゴールデンキングスU15だ。ファイナルトーナメント1回戦で岩手ビッグブルズU15を、準々決勝で2連覇中の王者・宇都宮ブレックスU15を下しての勝ち上がりだ。

 

 ここではこの日、彼らが戦った2試合のうち初戦の岩手U15戦後を振り返る。岩手U15はエーススコアラーの#7坂ノ上悟太郎を軸にサイズと機動力のあるバスケットを展開し、とりわけトランジションゲームでの得点力が高い。一方の琉球U15は2年生エースの#30平良宗龍、切れ味鋭いプレーを見せる司令塔#18須藤春輝らを軸に沖縄らしいリズミカルなバスケットを展開するチームだ。

 

琉球U15のエースとして活躍した2年生の#30平良宗龍

 

 お互いの長所がぶつかり合った前半は34-35と、岩手U15が僅かに1点をリードする互角の展開だった。3Qに入っても一進一退の攻防が続いたが、常に岩手U15が一歩リード。しかし、琉球U15も3Q残り5分8秒で同点に追い付くと徐々に試合にリズムを掴んでいく。「機動力のある岩手さんに自分たちがアジャストできるように我慢して、相手に気持ちの良いシュートを打たせないようにして、自分たちはリバウンドを取って走る。相手がトランジションの走るバスケットを展開しようとしていたので、そこに僕たちも走り負けないようにしようと声かけもできたので、そういう部分がリズムに乗れたポイントでした」と山城拓馬コーチ。

 

 琉球U15は相手がボールを止めればすかさずダブルチームでオフェンスの芽を潰し、岩手U15が得意とするトランジションゲームに真っ向勝負で打ち勝った。全員がボールに絡み、パスを回して最後はノーマークの選手が得点を挙げたあの時間帯を平良(宗)は「全員で攻められてディフェンスもできて、今までで一番良かったです。シュート決めて、ディフェンスで止めればいつものようにベンチもワッと盛り上がります」と振り返る。

 

琉球U15の強度の高いディフェンスには岩手U15#7坂ノ上悟太郎も「やり辛かった」

 

 平良の言うベンチの盛り上がりに関しては、岩手U15のエース坂ノ上も「自分たちのペースでプレーできなくて、やり辛かった」と認めている。これには大会に向けた取り組みが影響しているそうで、「この大会に向けて県ベスト4の高校生とも練習試合やらせてもらって、そのときの相手のベンチの雰囲気がすごく良かったので、僕たちもそういう雰囲気をまねようと話しました。選手たちももっと盛り上がっていいんだと分かっただろうし、そうしたことがあって先ほどの試合では彼らの感情が弾けたんだと思います。コロナの影響で特に今年1年を苦しんだ分、感情的になるというか。ベンチにいる選手もコートにいる選手と同じ気持ちを出してほしいと思いましたし、ベンチが盛り上がっていると出ている選手たちも盛り上がって気持ちが上がってくるので、良い相乗効果だったと思います」と山城コーチも振り返る。

 

【関連記事】三遠ネオフェニックスU15が信州ブレイブウォリアーズU15を撃破! 持ち味のディフェンスが冴え渡った後半は35-19と圧倒

 

 もう一つ良かった点がある。それは選手たちが自立したプレーを見せたことだ。前述した積極的なダブルチームを仕掛けたディフェンスはコーチ陣の指示ではなかったという。「ディフェンスでのダブルチームは選手たちの判断によるものでした。常日頃から『ディフェンスから積極的に、攻撃的に』という話をしているので、それをインテンシティを下げずに32分間徹底してできたのですごく良かったです。年明けのJr.ウインターカップの初戦(vs.箕輪クラブU15/52-53)で悔しい負けをしてから2か月足らずですが、全ての面で成長してきました。特にこの大会では選手たちから『コーチ、次の試合はどうしましょう、明日の試合はどうしましょう』というふうに次のことを考えて行動しているところが成長していると感じています」と山城コーチは言う。

 

 こうした積極性を見せ続けた結果、最終スコア75-56と19点もの大差が付いた。チームとしての盛り上がりと自立したプレーが成果として表れた試合だったと言える。そして続く準々決勝の宇都宮U15戦にも快勝。今、ノリにノっている琉球U15の明日の戦いにも期待したい。

 

写真/B.LEAGUE

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

 

 



PICK UP