月刊バスケットボール5月号

Wリーグ

2021.03.21

Wリーグ ファイナル トヨタ自動車が先勝。初優勝へ王手

 12連覇のかかるENEOSサンフラワーズと初優勝を目指すトヨタ自動車アンテロープスによるWリーグ ファイナル第1戦が3月20日、国立代々木競技場第二体育館で行われた。
トヨタ自動車は12月に開催された今年度の皇后杯決勝で#10渡嘉敷来夢を欠くENEOSに敗れており、そのリベンジに燃えている。その気持ちが出だしから表れ、ENEOSを圧倒する立ち上がりを見せた。ディフェンスではENEOSが誇る高速ガード陣を抑え込み、攻めては#15安間志織、#0馬瓜エブリンらを中心に次々にネットを揺らし、1Qで21-4と大量リードを奪った。

 

#15安間志織(トヨタ自動車)

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しかし、ENEOSも徐々に反撃を開始する。交代して出場した#5藤本愛瑚、またケガの影響でベンチスタートの#52宮澤夕貴らが積極的なオフェンスで、ゴールにアタック。前半の最後には鳴りを潜めていた#32宮崎早織が連続でゴールを決め、30-37と7点差まで迫り前半を終えた。
後半も宮崎がドライブで得点し、ENEOSが一気に詰め寄るかと思われたが、トヨタ自動車はオフェンスリバウンドを奪い、高さのアドバンテージを見せる。そして#33馬瓜ステファニーが3Pシュート、さらに速攻からも得点を決め流れを奪い返す。一方のENEOSは、なかなかシュートが決まらず、3Q残り2分を切ったところで馬瓜エブリンにオフェンスリバウンドから得点を決められ、38-53と15点差とされると早くも後半2回目のタイムアウトを取らざるを得なかった。その後、宮澤の3Pシュートで何とかしのぎ、41-53で最終クォーターに望みをつないだ。

 

#52宮澤夕貴(ENEOS)と#2長岡萌映子(トヨタ自動車)

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4Qに入るとENEOSが宮澤を中心に、徐々にトヨタ自動車を射程圏内に収めていく。#11岡本彩也花が3Pシュートを沈め、宮崎もドライブからファウルをもらうなど、残り時間とともに点差は詰まり、1分を切ったところで、#29中村優花のシュートが決まると66-67と1点差に。しかし、最後まで気持ちを切らせなかったトヨタ自動車が、攻めの姿勢を見せ続け、そこから得たフリースローを確実に決めて71-66で逃げ切りを果たした。
19得点、18リバウンドと攻防にわたる活躍をしたトヨタ自動車の馬瓜エブリンは「皇后杯でも似たような展開だったので(序盤のリードから、後半に追い付かれて負けてしまった)、自分たちが引かないように」と言い続けてきたという。チーム最多の20得点をあげた安間も「詰められたときに全員で立て直せたのが良かった」と皇后杯での敗戦を糧に、チームとして成長したことをうかがわせると、ルーカス・モンデーロHCも「追い上げられる状況の中で、メンタルを強くし戦ってくれた選手たちを誇りに思います」と評価した。
後がなくなった女王ENEOS。この日ベンチから出場ながら34分間プレーし、岡本と並ぶチーム最多の16得点をあげた宮澤は「ENEOSのバスケットができたら絶対に勝てるという自信があるので、最初から最後まで40分間、自分たちのバスケットをするという気持ちでコートに立ちたい」と第2戦での勝利へ執念を見せた。

(文:飯田康二・写真:石塚康隆/月刊バスケットボール)

※次ページにファイナル熱戦写真



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