月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.03.20

渡邊雄太への自信を語るニック・ナースHC(ラプターズ) - 日本時間3.20対ジャズ戦前会見レポート

 

 日本時間3月20日午前にティップオフを迎えるトロント・ラプターズ対ユタ・ジャズの試合前、ラプターズのニック・ナースHCが会見に応じた。ラプターズは新型コロナウイルスのパンデミックの影響からいまだ立ち直ることができず現在6連敗中。その中で渡邊雄太は3月3日の対デトロイト・ピストンズ戦でキャリア初のスターター起用も実現するなど継続的に出場機会を得られている。ただ、出場時間自体は1月後半から2月半ばにかけて自己最長の10試合連続出場を果たした当時に比べ減少傾向であり、かつ直近で出場機会があった8試合ではフィールドゴール成功率が16.8%(3P成功率は14.3%)とショットの精度が落ちてきている。

 見る側としては気になる傾向だ。しかし、ナースHCは「大きな問題ではないんです」と明快に答えた
回答のポイントは2つ。一つは、渡邊にはディフェンス面でのスペシャリスト的な役割を期待しているから、ということだ。「大した問題ではないんです。彼はディフェンスで頑張るのが売りのプレーヤーですから。オフェンスでやってくれることはおまけのようなものと思っています。リバウンドを頑張り、ガンガン切れ込んでくれていますね。必ずしも得点までは必要ではないんです」。例えば、得点面での期待が大きなOGアヌノビが得点できていない、していない、だから使わないというのとは意味合いが違う、というわけだ。
もう一つ、ナースHCは渡邊の出場機会が増えたことで対戦相手がスカウティングした結果がでているという点を理由として挙げてくれた。「ちょっとした微調整をする必要はありますね。対戦相手は彼がボールを持ったときにゴール周辺を固めてくるようになっています。中に切れ込んでシューターにパスを出されるのが怖いからです。パスのコースをふさぐと同時に3Pラインとゴールの間のスペースでプレーさせようとしています。そのために8フィートから14フィートの距離でショットを狙わなければいけなくなったり、動きの中でヘルプに来たディフェンダーをかわしてキックアウトをねらうことが増えるわけです。相手は彼のプレーを見て、我々のシステムの中でどんなことをしているかを研究してきたんでしょう。これは対応が必要です。我々も手助けしていきますよ」

 


ナースHCによる英文のコメントは以下のような流れだった。やや長い文面だがせっかくいただいたコメントなので、ほぼ全文を掲載しておく。
“It’s not that big deal. I think like he’s a kind of got a role for us as a hard playing defensive player. You know any offense we get out of him is kind of extra anyway. So it’s not like you say OG…, he can’t score he is not scoring so we can’t play him. I think he plays hard, rebounds hard. He cuts hard on offense. He doesn’t necessarily need to score.”
“He’s just gotta make a few adjustments. Teams have kind of decided to stay home when he has the ball. I mean he’s is a pretty good penetrator and passer out to shooters. Well, they’re not really giving him any avenues to pass to and almost forcing him to play inside the 3P line and somewhere between that and the rim. That’s when you see a lot of his shots are coming from eight to fourteen feet in the lane. It’s kind of a lot of times he’s on the move when he would kick those out as help would come. But I think that they see him play a little bit more in our system or the way he plays for us they scouted him a lot more and you know and he’ll have to make adjustment to that. We’ll have to help him make that adjustment.”
ナースHCの渡邊への信頼は高く、プレーオフ進出を争っていく戦いの中で、今後必要とされる機会は継続的にやってくると思われる。スカウティングされる立場なったのなら、それは間違いなく成長の証し。渡邊にとっては、次なる飛躍に向けたハードルを今まさに飛び越えようとしているところなのだろう。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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