月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.03.14

八村 塁、存在感を高める29得点、11リバウンド - ウィザーズは3連敗

 

 ワシントン・ウィザーズがホームにミルウォーキー・バックスを迎えたアメリカ時間3月13日(日本時間14日)の一戦は、バックスが125-119で接戦を制したが、その中で八村 塁が29得点、11リバウンド、1アシスト、3スティールと存在感を高める活躍を見せた。ウィザーズは得点源であるブラッドリー・ビールに加えシューターのダービス・ベルターンスが欠場する中、八村だけではなくラッセル・ウエストブルックが移籍後最高となる42得点に加え10リバウンド、12アシストのトリプルダブルでチームを鼓舞したが、オールスター・ブレイク明け後3連敗という結果となった。

 八村は第3Q終了時点までにフィールドゴール14本中11本を成功(3Pショットは3本すべて成功)させ29得点を記録していた。あとフィールドゴール1本を加えればキャリアハイ(2019年12月1日の対ロサンジェルス・クリッパーズ戦で記録した30得点)を更新する好調ぶりだったが、第4Qには加点できなかった。
ただ、得点面での貢献だけでなく、前試合でゼロだったリバウンドでも2桁の数字を残したことは非常に前向きな要素。また、119-123で迎えた第4Q残り9.4秒からのサイドライン・インバウンド・プレーでは、ウィザーズは八村に勝負を託し、3Pショットを狙うセットプレーを試みた。結果としてヤニス・アデトクンボのコンテストの前に惜しくもゴールを射抜くことはできなかったが、いよいよ八村への信頼度が高まってきていることが感じられるプレーだった。
この日八村がマッチアップした主な相手は直近2シーズンのMVPであり先日のNBAオールスターでもMVPに輝いたヤニス・アデトクンボやクリス・ミドルトンら。それを考えると、この日の29得点は非常に価値があるものだ。
八村は前の試合でキャリア通算1,000得点を達成し、この日の29得点を加えて通算1,035得点となっている。2019年のNBAドラフト1巡目9位指名プレーヤーとして十分期待に応える実績を積んできており、第4Qに結果を出せなかったことは今後のステップアップの材料と捉えればよいことだ。
ウィザーズはこの日の敗戦で今シーズンの通算成績が14勝23敗となり、イースタンカンファレンスの13位に位置している。ただし八村が10得点以上を記録した21試合では11勝10敗。リーグ1位の平均32.1得点というアベレージを残しているビールに頼らない展開なれば、勝機があると言えそうだが、それには八村に、現時点でのアベレージ(12.9得点、5.5リバウンド)からのさらなるステップアップが望まれる。この日のバックス戦での八村は、それが十分できることを感じさせるパフォーマンスだった。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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