〈Wリーグ〉富士通、デンソーがセミファイナルへ。トヨタ自動車、ENEOSへの挑戦権を得る。
高確率の3Pシュートで富士通が優位に立つ
Wリーグ2020-21プレーオフ クォーターファイナルが3月7日に行われた。前日のセミクォーターファイナルを勝ち上がったトヨタ紡織と三菱電機がそれぞれレギュラーシーズン地区2位の成績を残した富士通(東地区)、デンソー(西地区)と対戦した。
富士通#99オコエ桃仁花 (写真/山岡邦彦)
トヨタ紡織と富士通による第1試合は、富士通が#99オコエ桃仁花の3Pシュートで主導権を得る。「練習で3Pシュートの自信がついてきていました。ここ数試合出だしが悪かったので、最初から強い気持ちで、空いたら打とうと思っていましたと言うオコエは1Qで5本中4本と高確率で決め、トヨタ紡織のディフェンスをかく乱する。「ゲームプランが立たなくなってしまった」と中川文一HCも試合後に語ったが、1Qの最後に#10町田瑠唯も続き、チームで5本の3Pシュートを決めた富士通に対し、トヨタ紡織は7本打って成功はゼロ。12-20と苦しい立ち上がりとなった。2Qに入り、トヨタ紡織もペースが出てきて、#13平末明日香のドライブ・キックアウトから#8東藤なな子が3Pシュートを決めるなど、コンビネーションプレーも決まり始め、27-32と点差を詰めて後半に入った。
リズムを良くしたトヨタ紡織は、3Q残り5分を切ったところで#0飯島早紀の3Pシュート、#8東藤のドライブで42-42と同点に追い付く。しかしタイムアウトで流れを切った富士通が再び息を吹き返す。司令塔の#10町田を起点にオフェンスが機能し、ファストブレイクも出て点差を開き始める。トヨタ紡織も反撃を試みるも、#25内尾聡菜がいいところで3Pシュートを沈めて流れを渡さない。内尾はこの日4本とオコエと並ぶ3Pシュートを決め、チームに貢献。富士通はそのまま72-57と逃げ切り、セミファイナル進出を決めた。
#8東藤と共に40分フル出場した#15加藤優希は「(追い付いたところで)足が止まってしまいました」と振り返った。勝利した富士通のBTテーブスHCは「いい流れで入れましたた。課題のリバウンドでも勝てたのが良かったです」と勝因を上げる。キャプテンの#10町田はセミファイナルのトヨタ自動車に向けて「目標はまずファイナルの舞台に立つことなので、しっかりと準備をして臨みたい」と語った。
西地区ライバル対決はデンソーが終盤突き放す
デンソー#6本川紗奈生 (写真/山岡邦彦)
西地区で上位争いを繰り広げた三菱電機とデンソーの一戦。両チームはレギュラーシーズンでも2勝2敗と対戦成績は五分。プレーオフでも三菱電機#45渡邉亜弥、デンソー#8高田真希の両エースがチームをけん引し、序盤は一進一退の滑り出しとなった。しかし、2Qに入るとデンソーディフェンスの前に三菱電機のオフェンスが沈黙。残り7分を切ったところからノーゴールが続き、このクォーター4得点に終わってしまった。しかし、ディフェンスでは何とか踏みとどまり、23-32と9点のビハインドで前半を終えた。
後半に入ると三菱電機は粘り強いディフェンスからのファストブレイクやコンビネーションプレーで得点を重ねると、徐々に追撃を開始。残り3分で#45渡邉のスティールから#8川井麻衣がファストブレイクを決めて39-43と4点差に迫る。勢いに乗った三菱電機は4Qに入り#8川井、#4根本葉瑠乃、#45渡邉が点をあげ、残り8分を過ぎたところでついに逆転した。しかし、デンソーは#8高田がすぐに決め返し、#12赤穂さくらがオフェンスリバウンドからバスケットカウント。さらに#15稲井桃子も続き52-47と主導権を奪い返した。
その後も「追いかけようとすると3Pシュートを決められてしまい、メンタル的にも厳しくなってしまった」と三菱電機#45渡邉が試合後に語ったように、#6本川紗奈生、#20近藤楓が効果的な3Pシュートを決め、また#8川井が「高田さんがいることで、チームみんなが安心しているような感じだった」と口にしたほど、デンソー#8高田が勝負どころで存在感の大きさを見せた。
勝ったデンソーはセミファイナルでWリーグ12連覇の懸かるENEOSと対戦。皇后杯で敗れた悔しさを晴らすためにも「気持ちで負けないように臨みたい」と#6本川。#8高田も「オフェンスリバウンドにいくこと。ディフェンスリバウンドでは相手に取らせないことと、リバウンドを徹底していきたいです。また、ディフェンスから自分たちのアグレッシブさを出していきたいです」と来週への意気込みを語った。
プレーオフセミファイナルは3月14日より国立代々木競技場第2体育館で開催される。
(飯田康二/月刊バスケットボール)