月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.03.03

ザイオン・ウィリアムソン(ペリカンズ)がロンゾ・ボールとのアリウープを語る – When he released that pass, I knew it was on the money(あのパスが彼の手を離れた瞬間、うまくいくと思いました)

ウィリアムソン(左)とボール(右)は絶妙かつパワフルな連係でペリカンズをけん引している

 

 若手のタレントがそろったニューオリンズ・ペリカンズが、現在NBA2020-21シーズンの通算成績でリーグ全体のトップに立っているユタ・ジャズをホームに迎えて戦ったアメリカ時間3月1日の試合は、両者の持ち味が凝縮された見ごたえのある展開となり、129-124でペリカンズが勝利した。ペリカンズは26得点、10リバウンドを記録したザイオン・ウィリアムソンが随所にパワーとスピードあふれる豪快なプレーを披露したほか、ポイントガードのロンゾ・ボールも23得点、8アシスト、7リバウンドに2ブロックとオールラウンドな活躍で貢献し、ブランドン・イングラムも26得点、4リバウンド、5アシスト。彼ら若手とベテランのエリック・ブレッドソーやスティーブン・アダムス、JJレディックらベテランとの歯車も合っていた。
この試合のハイライトの一つは、ロンゾの「ゾ」を強調するZo(ゾゥ)というニックネームを持つボールと、マーヴェルの人気コミックに登場する悪役サノス(Thanos)に由来するZanos(ザノス)をニックネームとするウィリアムソンの連係プレーだった。「Zつながり」の2人によるコンビネーションはこの試合でも何度も見ることができたが、中でもすごかったのが63-69の劣勢で迎えた第3Q残り10分35秒のファーストブレイク。バックコートの右サイド、フリースローラインの延長線上あたりでインバウンドパスを受け取ったボールは、ドリブルもつかずワンタッチでフロントランナーとなっていたウィリアムソンめがけて矢のようなロングパスを飛ばし、空中でそれをキャッチしたウィリアムソンがそのままゴールに送り込む“優しいダンク”につながった。

 このワンプレーについて、試合後の会見でウィリアムソンはボールがボールをキャッチした瞬間にすべてを察知したことを明かした。「彼がボールを手にした瞬間、絶対に来るとわかっていました」。こうしたプレーがすでに彼らの間で習慣化されていることがわかるコメントだ。「文字通り彼が手にした瞬間に投げるとわかりましたし、あのパスが彼の手を離れた瞬間、うまくいくと思いました。ダンクは無理でもちょっと優しく流し込もうと、ベースラインでしっかりキャッチできるようにしました。でも、彼が投げた瞬間に彼が手にした瞬間に投げるだろうことはわかっていましたよ」
ウィリアムソン自身による英文の回答は以下のような流れだった。
“The moment he caught it, I knew he was throwing it. I mean literally the moment he caught it, I knew he was throwing it and when he released that pass, I knew it was on the money. I wasn’t able to dunk it so I just did a little soft layup to try to catch it myself on the baseline. But I knew the moment he threw it, I knew the moment he caught it, I knew he was going to throw it.”

 

元気があふれるウィリアムソンは会見での言葉も歯切れがよかった


ジャズにトランジション・オフェンスと3Pシューティングで苦しめられ、第4Q残り4分を切って122-108と14点あったリードを残り29秒には125-124の1点差まで詰められるというきわどい展開ではあったが、自信をもたらす勝利だったに違いない。ペリカンズはこの勝利で通算成績を15勝19敗として現在ウエスタンカンファレンスの11位。ジャズはこの試合を落とした後も27勝8敗の成績で同カンファレンスの首位、リーグ全体でのトップの位置も変わらない。
両チームの次戦はいずれも日本時間3月4日(木=アメリカ時間3日の水曜日)。ペリカンズはシカゴ・ブルズとのホームゲーム、ジャズはフィラデルフィアに移動してセブンティシクサーズとのアウェイゲームを控えている。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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