月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.02.27

スティーブン・サイラス(ロケッツHC)、ニック・ナース不在のラプターズにも気を緩めず - It’s his team that’s coached(彼がコーチしたチームですからね)

 

 日本時間2月27日のトロント・ラプターズ対ヒューストン・ロケッツ戦は、直前にヘッドコーチのニック・ナースを含むラプターズのコーチ陣6人がコロナ関連の安全衛生プロトコル対象となり、急遽ベンチ入りできない状況と発表された。その後パスカル・シアカムも同様の理由で欠場となること、アシスタントの一人であるセルジオ・スカリオロがヘッドコーチとして指揮を執ることが発表され、試合も延期されずに行われたが、これはどちらのチームにとっても衝撃の大きな出来事だったと思われる。通常ならばナースHCが登場する試合前の会見にはボビー・ウェブスターGMが記者たちからの質問に応じた。

 ロケッツ側の試合前会見でも、スティーブン・サイラスHCにこの件の質問が飛んだ。どんな思いか。果たして何らかロケッツに有利に働くと思っているのか…。サイラスHCのは「我々としては大きな違いはありませんよ」と落ち着いた表情で答えていた。「ニック・ナースのチームで、ニック・ナースのプレーをやってくるわけですからね。彼は素晴らしいコーチです。めちゃくちゃ尊敬していますから。あちら側に彼がいないとしても、気が楽になどなりません。彼のチームで、きちんとコーチされていて、プレーヤーたちがきっちり実行してきますから」

 サイラスHC自身による英文での回答は以下のようなものだった。

“You know for us, it doesn’t really make much of a difference. It’s Nick Nurse’s team they run Nik Nurse’s stuffs. He’s a great coach I respect the heck out of him. So, you know not having him over on his side doesn’t necessarily make me feel any better because it’s his team that’s coached and that’s the players that they have make that make them really good”

 試合前のウェブスターGMの会見では、冗談ではなくカイル・ラウリーにプレーヤー・コーチの役割を任せるアイディアもあったことが明かされていた。ポイントガードのフレッド・ヴァンクリートも含め、それほどコート上のプレーヤーにナースHCの考えが浸透しているという自信の表れでもあるだろう。ただ、実際には労使協定の規約上、契約にない責務を課することはできないため、これは実現には至らなかったようだ。

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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