月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.02.24

コービー・ブライアントと2月24日、ユタ・ジャズ

コービー・ブライアント対ジャズの伝説

 

 2020年の2月24日は、コービー・ブライアントの公式な告別式が行われた日だった。ヘリコプター事故でブライアントとともに命を落とした次女ジアナの#2と、ブライアントがキャリアの後半10年間身につけた#24にちなんでのことだった。『Celebration of Life』と銘打たれ、ステイプルズセンターで催されたセレモニーは心のこもった弔いと癒しの時間だった。
1年前の事故を振り返ることにつらさを感じている人は、NBA関係者を含め今も多い。一方でブライアントだけではなく犠牲となった人々、そして残された近親者に思いを寄せるために、さまざまな取り組みが行われている。遺族に支援の手を差し伸べようと設立された諸々の基金もそうだし、レイカーズの公式YouTubeをはじめ様々な形でセレモニーの記録が残されているのも、ブライアントのシグネチャー・シューズが現在もアップデートされて登場してくるのも、そういった思いの表れに違いない。
アメリカ現地の2021年2月24日(水=日本時間25日の木曜日)、ここまで22勝10敗でウエスタンカンファレンスの3位に座しているレイカーズは、25勝6敗で同カンファレンスのトップを走るユタ・ジャズとアウェイで対戦する。ブライアントと縁の深いチームとの対戦だ。
ジャズはブライアントが1996-97シーズンのプレーオフで、ウエスタンカンファレンス・セミファイナルの相手として戦った相手だ。1勝3敗の瀬戸際で迎えたソルトレークシティでの第5戦、ブライアントは4本のエアボールを放ち、レイカーズは93-98で敗れてシリーズを1勝4敗で落とす。“エアボール・パーティー”などと意地悪く呼ばれることもあるこのエピソードは、その後のブライアントのキャリアにおいて非常に重要な意味を持つ苦い薬だった。
カール・マローンとジョン・ストックトンという殿堂入りコンビを中心としたジャズは、このシーズンは最終的にファイナルに進出し、全盛期のマイケル・ジョーダン(現シャーロット・ホーネッツオーナー)らが率いたシカゴ・ブルズと6試合の激闘を演じた。ソルトレークシティでの第5戦は“Flu game(フル・ゲーム)”と呼ばれる有名な一戦で、ジョーダンが原因不明の体調不良に陥りながら38得点してブルズに勝利をもたらした試合だった。
もしレイカーズがジャズに勝っていたら、この年のファイナルはコービー&シャック(シャキール・オニール)のレイカーズとジョーダンの他にスコッティ・ピペン、デニス・ロドマンといったNBA史に名を遺すレジェンドたちがそろったブルズの激突になっていたかもしれない。
ちなみに翌1997-98シーズンの開幕戦でブライアントとレイカーズが対戦したのもジャズだった。ブライアントには雪辱を誓う思いもあったに違いない。この試合でのブライアントはベンチスタートで23得点、5アシスト、3リバウンドを記録して、104-87の勝利に貢献した。
2016年4月13日、ブライアントが現役として最後にプレーした試合もジャズが相手。この時は、50本のショットを放ち22本を成功させ、60得点という信じられないキャリアのフィナーレで世界を驚かせた。37歳での60得点越えは今もNBAにおける最高齢60得点記録だ。

 

2月24日のブライアントは8試合

 

 ブライアントが現役時代に、2月24日にジャズと対戦したことがあるかどうかを調べてみると、そのケースはなかった。ただ、2月8日に#8でプレーした試合数がブライアントとジアナにゆかりの2試合だったのと同じく、2月24日にブライアントがプレーした試合数が8試合だったことに気づき、正直なところ驚きを感じた。2、8、24はいずれも“ブライアントの番号”だ。
2008年の2月24日にも、ブライアントはプレーしていた。対シアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)戦だった。

 この試合はパウ・ガソルがレイカーズに加入して間もない時期で、アウェイのレイカーズが111-91でソニックスを下して8連勝を飾っている。ブライアントはフィールドゴール8本とフリースロー2本を決め21得点を奪うとともに、±が+24。さらには、テクニカルファウルを2つ食らって退場という記録も見つかった。
2月8日のブライアントに関する投稿でも記したのだが、日付を意識しているためにその数字を見て過剰な反応をしているにすぎないと理解している。それでも、こうしてブライアントゆかりの数字である2、8、24が関連付けられて登場するたびに、Numerology(ニュメロロジー=数霊術、数秘術)の存在を感じるようで不思議な気持ちになる。
ただ、このほかには深い意味合いを感じる数字の並びが見つけられたわけではない。2月24日のブライアントは8試合。#8でプレーした3試合は2勝1敗で、#24での5試合は3勝2敗だった。平均25.8得点(FG48.3%、3P 44.4%、FT83.0%)、アシストとリバウンドは共に5.1本というアベレージが残っている。

 

イラスト/茂本ヒデキチ

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



PICK UP