月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.02.19

渡邊雄太(ラプターズ)戦列復帰戦後、ニック・ナースHCがその存在感に一言

 

 アメリカ時間2月18日(日本時間19日)に行われたミルウォーキー・バックス対トロント・ラプターズの一戦で、渡邊雄太が5試合ぶりに戦列復帰を果たした。既報のとおりこの試合にラプターズは110-96で勝利を収め、渡邊は5分37秒出場して2リバウンドと1ブロックを記録している。
この試合の一つの注目点として、ディアンドレ・ベンブリーがスターターで起用されたことが挙げられる。ベンブリーは渡邊と同じように複数ポジションをこなせるプレーヤーで、故障のカイル・ラウリーに代わってのスターター起用。試合後の会見で、ニック・ナースHCはその貢献ぶりを高く評価していたのだが、その回答の流れで、渡邊の名前が出てきた。「あのようなプレーヤー(つまりベンブリー)がいると助かりますよね。ユウタもそういったプレーをします。もう少し出られていたときにはね」
ナースHCはさらに、以下のように続けた。「切れ込んで動き回ってパスを回して、というようなことを賢くやってくれるのはありがたいです」
ナースHCによれば、ベンブリーにはバックスのオールスター・プレーヤーであるクリス・ミドルトンに対する厳しいディフェンスを期待していたと言い、かつオフェンス面でもベンブリーに対する高評価を明かしていた。それと同じような貢献を、渡邊が万全のコンディションに戻れば期待できるという感触が伝わってくる。ナースHCが自身の言葉として発した英文コメントは以下のような内容だった。
“It’s good to have guys like, you know, Yuta kind of does that, too when he was playing a little bit more. Cutting and moving and passing is good to have out there with some intelligence.”
決してベンブリーに対する好評価をすり替える意図はないことを明記しておきたい。ベンブリーが素晴らしかったことから、渡邊にも言葉が及んだのだ。
ただ、渡邊関連の質問ではなかった中でのこのコメントから、渡邊の戦列復帰がナースHCにとって相当にポジティブな要素であろうことはうかがえる。渡邊にとっては“試運転”だったこの日の5分37秒は、チームに求められているリバウンドとブロックで数字を記したことからも、まず無難にこなしたと言ってよいのではなかろうか。
イースタンカンファレンスは混戦模様。上位のバックス(現時点で16勝13敗、同カンファレンス3位)にアウェイで2連勝したラプターズは、シーズン通算成績を14勝15敗として順位を6位に上げた。
今シーズンのNBAはレギュラーシーズンが例年の82試合ではなく、72試合に短縮されている。プレーオフ出場権を自動的に手にするのも、例年のように8チームではなく、カンファレンス6位までに入ったチームとなっている。第7、第8シードの出場権は、7位から10位のチームによるプレー・イン・ゲームで決するので、それを思えば現在地の6位は「ギリギリセーフ」で悪くないと言えるかもしれない。しかしラプターズは2019年のNBAチャンピオンだ。トップの座も十分視野に入ってきている中、ギアをもう一段、二段あげてくるにちがいない。

 渡邊はこの日を終えた段階で、今シーズン19試合に出場して平均2.9得点(FG35.3%、3P 42.9%、FT100%)、3.2リバウンド、0.4アシスト、0.6ブロックというアベレージを残している。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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