並里 成 – 「FIBAワールドカップ2023、僕は本気ですよ」
1989年生まれの並里 成が将来像を具体的に思い描き始めた時期にあたる2007年、それまでは存在しなかった琉球ゴールデンキングスが地元沖縄に誕生した。それは並里にとって想像だにしない夢だった。NBAを目標として育った少年時代。しかし今、並里はそれ以上に大きな夢を生きている。
――プロ入りする前、キングスをどのように見ていましたか?
キングスがbjリーグに登場したのは僕が高校3年生のときで、その時点でプロになるというのは僕の中で明確でした。優勝は2年目でしたか。地元のチームがすぐ優勝してくれたことで、キングスが大きくなって、僕もいいプレーヤーになってキングスでやりたいという思いはずっとありました。
僕が生まれ育ったところにプロチームができるということが、考えられないことだったんですよ。それが実現したことで、それまでもちろんNBAは行きたかったですが、キングスにいきたいという思いも同じくらい強かったかもしれないです。むしろそっちのほうが…。僕の中でNBAは目標でしたけど、キングスは夢のような感じだったので、気持ちは強かったかもしれないです。
――あこがれの選手などはいたでしょうか?
あこがれの存在というより、オフコートでもオンコートでも僕のアニキのような存在の山城吉超さん(キングスのbjリーグ初シーズンだった2007年から2014年まで活躍したフォワード)とか、金城茂之選手(2007年から2019年までキングスに所属し、現在仙台89ersに所属)とかですね。本当に、小学校、中学校、高校とずっと彼らの全国での活躍を見てきていましたし、オフコートでもよくしてもらって、面倒をみてもらっていましたからね。
――今、ハーパー ジャン ジュニア選手にはその逆の立場という感じでしょうか。中学・高校の先輩と後輩ですよね。
もう何歳離れているかわからないくらいの年の差ですけど、弟みたいな存在です。小さい頃からよく知っていたんですよ。これからキングスはどんどん大きくなっていきますし、日本のバスケも盛り上がってくると思うので、彼には僕以上に日本を代表するような選手になって、最終的にはキングスの顔として大きくなってほしいなと強く思っています。
――沖縄のバスケ文化についてどんな思いを持っていますか?
スポーツやバスケットボールに対する情の厚さが独特で、他の都道府県に比べたらすごく人生をかけている、自分の生活の一部な感覚はありますね。
――並里さんの子どもの頃もバスケに熱中していましたか?
子どものころは僕も、ずっとバスケでしたよ。昔は沖縄に6チャンネルというのがあって、アメリカのニュースだったりテレビ番組やNBAも見ることができていたので、NBAが間近にあったような感覚でした。学校ではサッカー部や野球部の部活生も皆バスケが好きでした。休み時間には僕のほうがバスケしようと誘われるくらいでしたが、これが中学校の3年間はほぼ毎回そんな感じでしたね。僕からバスケに誘うことはなかったんですよ、一回も。けど休み時間は毎回体育館にいてバスケをしていました。
普段は授業のあと部活の練習がありますが、野球部とサッカー部にバスケしようと誘われて、練習にいかずに公園にいって皆でバスケした思い出も何回もあります(笑)
――沖縄の公園には素晴らしいアウトドアコートを備えた場所がたくさんありますね。
沖縄市の島袋小学校の近くにある公園のバスケットボールコートはすごく思い出があります。他の部活の仲間と遊んだ場所ですね。あと、今はリングがなくなってしまいましたが、沖縄市コザのパークアベニューの近くにあったコートもよく使いました。いろんなコートでやりましたよ。バエるのはやっぱりアラハビーチ(中頭郡北谷町の安良波公園)ですね(笑)
――そんな土地柄の沖縄に素晴らしいアリーナの建設が進んでいます。
まだ一度しか入った事がないのですが、僕はもうNBAのアリーナを照らし合わせて、僕がコートに立つときを想像しています。本当にそういう場所に立つんだという思いや楽しみがあります。
――4月にはいよいよその舞台で最初の試合も行われます。
沖縄アリーナでの初戦は首位争いを戦うであろうシーホース三河との対戦です。この試合には絶対に勝ちたいという思いが本当に強いです。天皇杯もBリーグのシーズンも今のところ負けていて0勝2敗ですしね。その頃にはもう後半戦でもありますし、エンジンをかけていかないといけない時期でもあります。このアリーナの誕生をきっかけに、アリーナの力も借りるつもりで、なんとかそこで勝利して、アリーナでのキングスは違うというのを見せたいなと思っています。
――沖縄アリーナ誕生でバスケットボールを中心に沖縄のスポーツシーンや文化に注目が集まりそうです。
環境がいいですよね。スポーツをするのに適した環境だと思います。それに自然の環境がやっぱり人柄を作っているのかなというのも思いますね。
――2022年にはBリーグオールスター、2023年にはFIBAワールドカップとビッグイベントが続きます。並里さんには日本代表としての活躍をという期待もありますね。
僕は本気ですよ。本当に、僕にとってはいいチャレンジなのかなと思っています。30歳代に入ってきたし、いろんな経験もしてきて、まだ本番まで2年間の時間があります。ここからまた一つ二つ良くなれる、強くなれるんじゃないかなと思っていて。その舞台でプレーできることは、今の一番大きな目標かもしれないです。本気でいかせていただきます。
本気なのは並里だけではないだろう。新たな沖縄アリーナの完成、2009年以来となるキングスの「日本一」達成、2022年から2023年にかけてのビッグイベント開催と、国内外から多くのバスケファンが沖縄に訪れる。
そこにかかわる人々、見守る人々すべてが成功に向けて本気だ。並里はその先頭を切って、今日も夢を生きている。
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