月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2021.02.14

ケイン・ロバーツ(東京Z) - BリーグからNCAAディビジョンIに飛び込むサムライの物語(5)

1月13日にNCAAディビジョンIのストーニー・ブルック大からの入学オファーを受けたケイン・ロバーツ(アースフレンズ東京Z)に、さっそくインタビューを申し込んだ。収録は同16日。その後25日には早くも同大への入学を本人が表明したが、ここではヘッドコーチの東頭俊典氏も同席の下で行ったやり取りから、リクルーティングの経過だけでなくその意義も見出すことができる。
文/柴田 健(月バス.com) 協力/アースフレンズ東京Z 、Kris Thiesen(Tokyo Samurai)

 

ロバーツがBリーグ公式戦でプレーしていたことが、NCAAディビジョンIのコーチの目に留まる大きな要因だった(写真/©B.LEAGUE)

 

ディビジョンIからの勧誘の言葉は

「空いているスポットがあり、君は完璧にそのスポットに合う」

 

 ストーニー・ブルック大はアメリカ・イースト・カンファレンス(以下AEC)に属する、いわゆるミッドメジャーの有力校の一つ。ニューヨーク州の、マンハッタンから約120kmほど東に向かった海辺にある町ストーニー・ブルックがホームだ。2016年には大学史上初のNCAAトーナメント出場を果たしており、今シーズンは現地時間2月8日に行われた試合までを8勝10敗(AECでは6勝6敗で10チーム中5位)としている。
ヘッドコーチは2019年からジノ・フォード氏だが、ロバーツ周辺の関係者が連絡した相手はアソシエイト・ヘッドコーチのブライアン・ウェバー氏。3年前にこのポジションに就任して以来、AECで表彰されるような有能なアスリートを何人もチームに連れてきており、リクルーティングの手腕には定評のある人物のようだ。

 

――ウェバーアソシエイトHCにはどのあたりが気に入られたと思いますか?
ロバーツ トランジションで走り回れることや、最初の一歩の速さです。「素早いガードだね。チームが必要としているスポットにぴったり合う」と言われましたから。ハイペースな展開を得意としているみたいなので、僕の速いペースのプレーぶりが気に入られたと思います。


――チームが実際にどんなプレーを指向しているかはすでにご存じなのですか?
ロバーツ 彼らのシステムについても聞きました。ハイペースで、しかも今よりも速い展開を可能にするようなガードを探していたということでした。ディフェンスではボールスクリーンにスイッチで対応していて、NBAのチームのようでした。


東頭HC ケインの恩師で、いろんな大学にハイライトを送ってくれていたシーセン クリス マコトさんというコーチ(トウキョウサムライ=パート1~4参照)が言ってくれたのが、B2公式戦の対佐賀バルーナーズ戦(1月2日の試合)の活躍です。ルーズボールにダイブしたり、ショットもすごく入ったんですが、その試合を機にメールや電話が増えたそうで、ストーニー・ブルック大もその一つだったと。
B2の試合でスターターではなかったにもかかわらず、ハードワークやチームワークというところまで一つ一つ見られているんですね。今回ケインがパイオニアとして道を作ってくれているので、日本の高校生にも(同じような道筋に)チャレンジしてほしいです。もちろんケインが持っているスピードは絶対的な条件なのですが、例えばウインターカップなども見られているかもしれません。今やそういう状況だということを知ってほしいです。


――ウェバーアソシエイトHCからはどんなふうに言葉をかけられたのですか?
ロバーツ 最初はEメールで、電話番号を交換しようとのことでした。WhatsAppというアプリでやり取りするのが一般的みたいなので、それができるようにということです。僕の記憶が正しければ「実は空いているスポットがあり、君は完璧にそのスポットに合うと思っている」と言われました。

 

 東頭HCは先方とのやり取りには加わっていなかったが、ロバーツの望みに応えて映像を用意したという。このような形でチームとして支援するとともに、シーセン氏と相当情報をシェアして一枚岩になっていたことがうかがえる。それがディビジョンIに若者を送り込む立場の姿勢ということだろう。(パート6に続く)

 

インタビュー時のロバーツ(左)と東頭HC(右)

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



PICK UP