月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.02.05

八村 塁(ウィザーズ)、ヒートのオールスター相手にも引かず勝利に貢献

 

 アメリカ現地時間2月3日夜にマイアミで行われたワシントン・ウィザーズ対マイアミ・ヒート戦にスターターで登場した八村 塁は、35.24分の出場で11得点、9リバウンド、5アシストを記録して103-100の勝利に貢献した。
八村のプレーは随所にフィジカルな強さを感じさせるものだった。ケリー・オリニクに対してドライブで体をぶっつけ、反転して放ったターンアラウンド・ショットや、アンドレ・イグダーラ相手に左サイドをドリブルでアタックし、体を寄せてゴールに向かい柔らかくレイアップを沈めたプレーなどは、最高峰のリーグでも一級品と言ってよいと思う。
しかも、フィジカルだったのはオフェンスだけではなかった。試合後の会見では、ジミー・バトラーのショットに厳しく食らいつき、リバウンドで肘鉄を食らわせるようなプレーがあったことについて聞かれ、「彼はファウルを取りに体を寄せてぶつかってくる類いのプレーヤーです。強くいかないと」と、昨シーズンのファイナルで大活躍した相手のオールスター・プレーヤーにも一歩も引かない心持ちを言葉にした。「今日彼は5、6本リバウンドを獲っていましたからね。ボールが外れるなら彼もリバウンドに跳んでくるに決まっています。こっちもいかないと。あれは重要なプレーでしたね」
このやり取りは英語で行われており、八村の言葉は以下のような流れだった。
“He's one of those guys who tries to get fouls. He tries to get into your body and stuff. I knew I had to be strong. I knew he got five or six rebounds. So, if the ball goes off, I knew he was gonna jump. I gotta rebound. And I think that was a big play.”
「ジミー“バケッツ”はオールスターだから」とか、「イグダーラはファイナルMVPを獲得したプレーヤーだから…」といった一歩引いたものの見方はまったくない。ほんの数年前に「日本人にNBAは無理だ」というステレオタイプが存在していたことが信じられないほど、今、八村は平然と最高峰のプレーヤーたちと対等に戦っている。
こっちもスーパースターになった八村が、この先どのようにウィザーズの立ち直りに貢献するか楽しみだ。この試合に勝った時点でチームはまだ5勝13敗のイースタンカンファレンス14位。やりがいがある仕事に違いない。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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