月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.02.01

八村 塁、ウィザーズの不振にも前を向く – We never had the whole team yet(まだ全員そろって一度も練習できていないんです)

 

 アメリカ現地の1月30日(日本時間31日)、試合がなかったワシントン・ウィザーズは練習を行い、その後八村 塁がズーム会見に応じた。チームがその映像を公式サイトで公開している。
開幕の段階から流行性角結膜炎で戦列を離れ、復帰したと思ったら今度は新型コロナウイルス関連の安全衛生プロトコルの対象となり再度離脱となった八村。会見ではここまでの流れを振り返り、「身体的にも内面的にも難しかった」と素直な気持ちを語った。「でもしかたがないことです。切り替えてバスケットボールをプレーする気持ちにならないと」。前日の対アトランタ・ホークス戦(100-116の敗戦)でようやく戦列復帰は果たしたものの、集中しきれなかったことを悔いた。
ウィザーズの問題点については、登録メンバーが全員そろってプレーする機会がいまだにないことを指摘。「次々と人の出入りがあるシーズンで…。みんなが同時にプレーできた試しがありません。まだ全員そろって一度も練習できていないんです」
流ちょうな英語で八村が発したコメントの流れは以下のようなものだった。
“Somebody is out and somebody is in... We actually never had everybody play at the same time. We never had the whole team yet.”

同日時点のウィザーズは3勝12敗の成績でイースタンカンファレンスの最下位に沈んでいる。一方で最大の得点源であるブラッドリー・ビールは懸命にチームをけん引。この時点の平均34.7得点は、自己最高だった昨シーズンの平均30.5得点を4ポイント以上も上回るリーグ全体トップの数字だ。メンバーがそろいさえすれば戦えるだろうことは、ビールや八村(平均13.0得点、4.6リバウンド)、さらには今シーズンから加わったラッセル・ウエストブルック(平均18.9得点、9.6アシスト、9.3リバウンド)の存在を思えば容易に想像できる。ウエストブルックはオクラホマシティー・サンダー時代に現在ウィザーズのヘッドコーチを務めているスコット・ブルックスの下でプレーし、2012年にはNBAファイナルに進出した経験も持っているのだ。
八村は「みんなが一緒にプレーできるようになれば、僕たちは大丈夫です」と前を向く。バスケットボール以前の問題で成績が振るわないウィザーズだが、リーディングスコアラーと“ミスター・トリプルダブル”の異名をとるウエストブルック、そして2ケタ得点を計算できる八村らがともに万全の状態でプレーできるようになれば、確かに話が違ってくる。今の順位は間違いなく、あまり時間をかけることなく抜け出すことができるだろう。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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