月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.01.25

We got our head beat...(今夜はガツンとやられたけれど…) - レジー・ミラーの大記録を破り感激のステフィン・カリー

 

 アメリカ時間1月23日にソルトレイク・シティーで行われたユタ・ジャズ対ゴールデンステイト・ウォリアーズ戦で、ステフィン・カリーが5本の3Pショットを成功させ、レジー・ミラー(元インディアナ・ペイサーズ)の総3Pショット成功本数記録2560本を抜いてこのカテゴリーで歴代2位に躍り出た。現時点で2562本。歴代1位はレイ・アレン(元マイアミ・ヒート他)の2973本だが、故障でほぼ全休に近かった昨シーズンを除いて過去5シーズンはいずれも1試合あたり4本以上を成功させているカリーが順調に出場し続ければ、2021-22シーズン中にもその記録を塗り変える公算だ。

 この日の試合は好調ジャズに大きく引き離され悔しい敗戦(最終スコアは108-127)だったため、試合後の会見では当初素直な喜びの表情ではなかったのだが、ミラーの記録を破ったことの意義を聞かれるとやはり「特別なことです」と笑顔がこぼれた。ちょうどそのタイミングでズーム会見に加わったのが何と記録を破られたミラー自身。しかも息子のライカ―君がカリーのジャージーを着て一緒に参加していたのだ。
これにはカリーも顔をほころばせて喜んだ。その直後に話したのが以下のような内容だった。「今日はガツンとやられたけれど、それでも楽しんでプレーしようと思いました。3本目で31番(ミラーの現役時代の背番号)に追いついたと思いますが、大事な1本とわかっていましたよ。その後第3Qに4本目が来て、特別な気持ちでした。ずっと長い間目指してきたものでしたからね」
カリーの言葉は喜びにあふれていた。本人の口から出た英文の表現は以下のようなものだ。
“We got our head beat tonight, but I was trying to still enjoy it. I think I threw up #31 after I made the third one, I knew that was a big one, and then to make that fourth one in the third quarter was pretty special. Something I've been looking forward to for a very long time.”
ミラーに並んだカリーのこの日3本目は第2Q残り3分20秒にトップから沈めたもの。決めた直後にカリーは両手を挙げて喜びを表現した。そして歴代単独2位に躍り出る一撃は第3Q残り11分に右コーナーから。これは自身で一度ペイントアタックしてキックパスをさばいた後に右コーナーにリロケートし、パスを受けてクイックリリースでねらった非常に難度の高いショットだった。
カリーにとってミラーは子どものころからの憧れの存在だったというのだが、ミラーの方はこの会見でのやり取りだけでなく、自身の現役時代とカリーのスペシャル映像を用意するなど若きスターへの敬意を形にして表した。カリーはそれが本当にうれしかったのだろう。その後インスタグラムに「(ミラーは)シューティングや距離を延ばすこと、ボールを持たずに動き回ることの楽しさを教えてくれました」と投稿して感謝の思いを表現していた。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



PICK UP