月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2021.01.11

「将来はBリーガー」の夢をかなえろ! - B.DREAM PROJECT 2021レポート

1月9日・10日にBリーグが都内で開催したB.DREAM PROJECT 2021。将来Bリーガーとしての活躍を目指す若者たちの熱気に満ちたその会場に足を運んだ。

取材・文/柴田 健(月バス.com) 写真/©B.LEAGUE

 

B.DREAM PROJECTはその名のとおりBリーグで夢を追うためのプロジェクト(写真は最後のスクリメージでも活躍が目を引いた森川 凌)

 

“ガチ”のフルコートスクリメージでセールスポイントをアピール


このプロジェクトの大きな目的は、世界に挑戦する意欲に溢れる22才以下のタレントを見いだし、特別指定選手制度*を介して各クラブにその育成・強化の機会を創出することだ。また、将来Bリーグで指揮する強い意欲を持つ35歳以下のコーチの卵たちに、指導法について学ぶ機会を創出することもねらいとしている。今年で第6回目の開催。これまでにプロ契約に至ったプレーヤー43人(うちB1クラブ4人)、コーチ7人(同2人)を輩出している。

 

 取材に向かったのは2日目。資料にはプレーヤー100人、コーチ6人の名前が並んでいた。各クラブのフロントが熱い視線を注ぐ中、このメンバーでフルコート5対5を繰り返して個々の力を披露する。100人のリストは終盤には20人に絞られ、さらに最後には10人、つまり5人ずつの“オールスター”2チームによるスクリメージへと進んでいった(主催者側はオールスターという表現は使っていない)。

 

 リストに並ぶ100人のプレーヤーたちは初日のスクリメージからの選抜者と事前選抜者。その多くは有力大学に所属していたり、アンダーカテゴリーでトップエンデバーに参加した経験を持つ実力者だ。現時点でまだU15の少年たちも含まれていた。

 

 次々と行われた8分間のスクリメージは見ごたえ満点だった。仕事としてバスケットボールを選ぼうという意欲で集まっている若者たちのぶつかり合いは、どの瞬間も“ガチ”の勝負。誰もがうまく、強い。何も持っていない、魅力のないプレーヤーは一人もいない。その中でひときわ輝く存在を見つけ、ともに夢を追いかけようと見守る各クラブのスタッフたちも真剣そのものだ。場内には緊迫した空気感が満ちていた。

 

全盛期のアイバーソン張りのクロスオーバーを見せたアービーカリル寿喜亜は将来有望な17歳だ

 

「和製ザイオン」、「全盛期のアイバーソン」が躍動


会場が使用可能になったとたんに姿を見せた最初のグループの一人で、いつものルーティンからきちんとウォームアップを開始したのは石橋玲音。真面目で落ち着きのある関東学院大の4年生で、187cm、85kgの引き締まった体はNBAのニューオリンズ・ペリカンズで活躍するザイオン・ウィリアムソンがコンパクトになったような印象だ。オールドファンにはチャールズ・バークリーがフィラデルフィア・セブンティシクサーズで活躍していた頃を引き合いに出せばわかってもらえるかもしれない。

 

 最後のスクリメージでブレイクから軽やかにダンクをぶち込んだのは明治大学の植松義也。190cmのフォワードだが、プロとしてバックコートでも活躍できそうな俊敏さも兼ね備えている。アンドレー(兄、20歳)とアンソニー翔(弟、16歳)の“介川ブラザーズ”のプレーも目を引いた。二人してプロで活躍するのが夢だとアンソニー翔は笑顔で話してくれた。シクサーズ時代のアレン・アイバーソン絶頂期を彷彿とさせる切れ味と強さを兼ね備えたクロスオーバーでたびたびゴールにアタックしたアービーカリル寿喜亜は、見せる要素という意味でも今後が楽しみに思えた。年齢の項目には17歳と書かれてあった。

 

 最年少は2人いた15歳。小泉広翔(180cm)と大森康瑛(191cm)はともにサンロッカーズ渋谷 U15に所属するプレーヤーで、前日のセレクションを生き残った少年たちだった。この日は20人のセレクションから漏れたが、より完成された年上のプレーヤーたちを相手に立ち向かう姿は日本のバスケットボールに明るい未来があることを感じさせた。小泉は憧れのプレーヤーとして富樫勇樹(千葉ジェッツ)の名を挙げて目を輝かせていた。

 

 最長身は198cmの山野井昇原。埼玉県出身で、調べてみると2013年にU15トップエンデバーに名を連ねていた。長身だがポストアップよりも外からのペイントアタックを持ち味としている。動けるビッグマンは特にディフェンス面での存在感が印象に残った。印象の強さでは、逆に168cmと小柄だったにもかかわらず“最後の10人”に選ばれ、この日を締めくくる最終スクリメージでの終了間際のショットなど好プレーを連発した森川 凌(富山大)も相当アピールしたのではないかと思う。

 

 こんな調子で年明け早々、書き切れないほどのタレントを一度に見る機会に恵まれた。いくつか聞けたプレーヤーたちのコメントは、近々別途紹介していきたいと思う。2日間のトライアウトから、夢をかなえる若者たちが数多く出ることを願うばかりだ。

 

*特別指定選手制度
満22歳以下のバスケットボール選手を対象に、連盟の垣根を越えて、個人の能力に応じた環境を提供することを目的とした制度。

 

躍動的なプレーが光った介川アンドレーは弟のアンソニー翔と一緒に参加していた

 

(月刊バスケットボール)



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