月刊バスケットボール5月号

中学(U15)

2021.01.06

【Jr.ウインターカップ】下妻中vs.京都精華学園中、明暗が分かれたラスト10分間の攻防

 2019年の和歌山全中で3位に輝いた下妻中(茨城)とベスト8入りを果たした京都精華学園中(京都)がJr.ウインターカップの女子準々決勝で激突した。両チームともに和歌山全中当時2年生だったメンバーの多くが3年生となり、充実の戦力で今大会に乗り込んできた。

 

公立校ながら清水姉妹を起点に素晴らしいチームに成長した下妻

 

 大会3日目の本日からは1日に2試合をこなすダブルヘッダーとなり、この準々決勝は2試合目と連戦の疲労が懸念された。試合は序盤から一進一退の攻防が続き、下妻は#4清水瑠奈と#7清水瑠莉の双子の姉妹がインサイド、アウトサイドと自在な攻めを展開。対する京都精華も187cmの#15ディマロ・ジェシカ・ワリエビモ・エレの高さを駆使しながら司令塔の#4堀内桜花がゲームをコントロールしていった。

 

 下妻としてはジェシカのインサイドに対して清水瑠奈をマッチアップさせ、ジェシカにマッチアップしていない清水瑠莉がインサイドでミスマッチを突きながら、アウトサイドからも試合を通して8本の3Pシュートを沈めて得点したことでリズムをつかんでいった。3回戦後に下妻・井川佑一コーチが「留学生のところを外に引っ張り出して、空いたスペースで勝負していきたい」と語っていた理想通りの展開だ。

 

ジェシカ対策も含め、3Qまでは順調だったが…

 

 良いディフェンスが良いオフェンスを生むとはよく言ったもので、ディフェンスで後手に回ってしまったことで京都精華は3Q終盤に10点のビハインド(50-60)を背負った。

 

 ただ、「ずっと選手たちには、全国大会は3Qまでしっかりとバスケットをして、そこから先は本物かあるいは力が足りなかったかが分かれると言い続けてきました。この試合も最初から我慢、我慢という展開で2試合目ということもあって4Qが勝負だと思っていましたし、そこまでは3Pシュートよりも2点で確実に点を重ねていくことを意識していました」と京都精華・山本綱義コーチ。

 

 ビハインドを背負ってもなお、勝負は先にあると踏んでじっくりと試合を進めていったことが、その後の展開で功を奏した。「3Qの終わりくらいから外のシュートが入る選手を投入しました」(山本コーチ)というようにベンチ出場の#7山西凛愛がこの日3本を沈めた長距離砲を3Q終盤から4Qに集中。山西はこの試合で19分40秒のプレータイムを獲得しているが、そのほとんどが試合終盤での出場時間だ。山本コーチの期待に応えた山西は3Q残り14秒には1点差に迫る3Pシュートをスウィッシュで沈め、4Qに勢いをもたらすきっかけを生み出した。

 

反撃のきっかけを作った#7山西

 

「あのタイミングで一気に詰められたのがすごく痛かったです。本当は3Qの終盤にタイムアウトを取るべきでしたが、4Qでより厳しい局面が来ると思って取らずに我慢しました。でも、結果的にそれで流れを持っていかれてしまった。中か外、どちらかを守ろうとやってきたんですけど中も外も止められなくなってしまった。僕のミスでした」と井川コーチ。ここで初めて下妻が後手に回ったわけだ。

 

 4Qに入ると早々に京都精華が逆転し、このタイミングで下妻がタイムアウトを取るも時すでに遅し。これ以降、京都精華が再逆転を許すことはなく、残り1分25秒には山西がダメ押しとなる3Pシュートをヒットし、最終スコア83-70。最後の10分間で33-10と圧倒した京都精華が準決勝進出を決めた。

 

写真/JBA

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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