月刊バスケットボール5月号

【ウインターカップ2020】戦友の思いもコートで表現した“茨城の底力”

 大会4日目(12月26日)。ベスト8を懸けた戦いが繰り広げられた男子3回戦で、つくば秀英(茨城)は洛南(京都)と対戦した。

 

 試合は序盤から洛南優勢の展開で進んだが、つくば秀英も粘り強いディフェンスと鍛え上げられたフィジカルで洛南の高さに対抗。3Qを終えた時点で50-56と、互角の戦いを演じていた。好勝負を演じながらも、「追い上げられた部分での落ち着き、ゲームの運び方がうまかった」と#4根本大(つくば秀英)が振り返ったように、試合経験に勝る洛南は要所で#5小川敦也、#6淺野ケニーを起点に得点を重ね、5点以内に詰め寄ることを許さない。

 

高さのある洛南に対してチームで立ち向かった

 

 つくば秀英もオールコートプレスで最後の追い上げを試みたが、ついにその差を逆転するには至らず試合終了のブザーが鳴り響いた。

 

 最終スコアは69-83と離れたが、これはつくば秀英がファウルゲームで時間を止め、洛南がフリースローで得点を積み上げた時間帯の点差であって、最終盤を迎えるまでの戦いぶりは見事に一言に尽きる。

 

「この大会には『どこで負けたとしてもやり切る』という気持ちを持って入ってきたので、やるだけのことをやった上で負けたのなら、その結果がどうとかではないんです。一人では勝てないところをグループで攻めて、本当に助け合って、助け合ってここまで来ることが出来ました。選手たちにはよくやったと伝えたいです」と、涙ながらに稲葉弘法コーチは選手たちの健闘をたたえた。

 

 つくば秀英にとって、今大会は出場辞退を余儀なくされた土浦日本大の思いも背負いながらの戦いとなった。「男女の土浦が一度も試合ができずに終わってしまって、僕たちが茨城県からの唯一の出場チームになりました。だからこそ、“茨城の底力”を見せ付けるしかないと思って、みんなで一丸となって戦えたと思います」とは根本。

 

この試合で25得点を挙げた根本。自らも底力を見せ付けた

 

 常日頃からつくば秀英の前に立ちはだかる大きな壁が土浦日本大だ。しかし、「僕らは県内で全国ベスト8という相手(土浦日本大)にどう戦っていくかというのを毎年チャレンジしています。土浦の子たちの分も、なんていうとおこがましいかもしれないけれど、でも心の中には土浦に対する感謝を持っているし、茨城2位のチームが全国でどこまでやれるかということを思ってこの大会に臨みました。そういった見えないパワーもコートで表現しながらよく戦ってくれたと思います」と稲葉コーチ。

 

 土浦日本大と切磋琢磨してきたからこそ、つくば秀英の力は全国の強豪をなぎ倒すまでに成長を遂げた。“茨城の底力”を見せ付けた彼らの戦いぶりは、鮮明に記憶されたはずだ。

 

写真/JBA

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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