月刊バスケットボール5月号

【ウインターカップ2020】佐世保工の“ペガサス”が「憧れの兄ちゃん」である“ドラゴン”を飛び超えた瞬間

 4年ぶり2回目のウインターカップ出場となった佐世保工(長崎)。2016年の初出場時は平成(秋田)に83‐85の2点差で負けるという悔しい結果に終わっているが、そのときメンバーだった立石宝龍(ほうりゅう/現・東海大九州)について、「兄ちゃんは憧れの選手でした」と言うのは、現在3年生の#6立石天馬(てんま)。

 

 今回のウインターは立石にとっては初めての全国大会で、試合に臨むにあたって兄・宝龍からは「試合で緊張するのではなく、楽しんで来い。楽しまないといいプレーも生まれない。あとは一生懸命やれ」という連絡をもらったという。

 

 試合の方は、「最初は緊張して、浮いている部分がありました」ということもあり1Qは25‐27と奈良育英(奈良)にリードされるが、「次第にいつもどおりのプレーができるようになりました」と#6立石だけでなく落ち着きを取り戻した佐世保工メンバー。チームのテーマである平面でのスピードを生かした“走破”でリズムをつかむと2Qを終えて51‐34とリードに成功。

 

 立石も「ジャンプ力があるので、高いところでのリバウンドでは兄に負けないと思います」という得意のリバウンド力を存分に発揮しただけでなく(リバウンド12はチームハイ)、3Pシュート3本を含む15得点を上げるなどし、佐世保工のウインターカップ初勝利に貢献(98‐87)。「兄ちゃんを超えることができてうれしい」と笑顔を見せていた立石。天馬(ペガサス)が宝龍(ドラゴン)の上を飛翔していった瞬間だった。

 

 

写真/JBA

取材・文/高木希武(月刊バスケットボール)



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