月刊バスケットボール6月号

【ウインターカップ2020】名門・能代工の名を背負って戦った最後の全国大会は 大接戦の末に敗退

 

九州学院(熊本) 77-72 能代工(秋田)

 

 来春、能代西と統合し、校名が能代科学技術となることが決まっている能代工。これまで引き継いできた名門・能代工の名で戦う全国大会はこのウインターカップが最後となるが、「そのプレッシャーは感じていなかった」(#4中山キャプテン)と試合序盤から持ち味を存分華に発揮する。#5上村の切れ味鋭いドライブ、#4中山の3本の3Pシュートなどで、開始約4分で16-2と大きくリードすることに成功したのだ。

 

 その後も#4中山が外角からこのQ4本目の3Pを決めたかと思えば、中では#6森山がリング下シュートを着実に決めるなどし加点。またディフェンス、オフェンスともにリバウンドを支配したことで九州学院の得点を押さえ、第1Qを24-13とリードする。

 

 しかし第2Qになると流れが一変。九州学院がオールコートでプレッシャーをかけ始めると能代工はリズムを崩し、得点が停滞。その間に九州学院は#5堤、#7中野、#13野美山が果敢にリングにアタックすることでフリースローを得、残り3分16秒で30-33と3点差まで迫っていく。だが、ここで能代工に流れを呼び込んだのが#5上村。3Pを含む7得点を挙げ、能代工が44-33と前半をリードする原動力となる。

 

 

 その後の第3Qでは、#5堤が果敢に攻めたことで九州学院が5点差まで詰める場面もあったが、基本的には能代工が約10点差をつけた状態で付かず離れずの展開となり64-52と能代工がリードして最終Qへ。ここまでは能代工・小野コーチが「今年のチームはこの能力が高い選手が多い」という通り、危なくなったときに活躍する選手が出てくるというパターンで、能代工がこのまま逃げ切るかと思われた。

 

 しかし第4Qになると雲行きがあやしくなる。それまで取れていたリバウンドが取れずにオフェンスの機会が減ったのに加え、九州学院#7中野に2本、#13野美山に1本の3Pを決められたことで残り6分16秒で64-65と逆転を許すことに。その後、能代工が再逆転、九州学院が再々逆転と息詰まる攻防が続く中、残り3分42秒で69-69と同点になってから、約2分間、能代工の得点が停滞。

 

 その間に九州学院は#4山下、#7中野、#5堤が着実に2Pを決め、残り1分49秒で75-69とリード。それでも能代工は#8大石が3Pを決め75-72と希望をつなぐが、この後約80秒間両チーム無得点で迎えた残り13秒で、九州学院#7中野にリング下シュートを決められ能代工は万事休す。そのままタイムアウトで、能代工としての最後の戦いは終わってしまった。

 

 

写真/JBA

取材・文/髙木希武(月刊バスケットボール)



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