12月17日、皇后杯ファイナルラウンド準々決勝2試合が国立代々木競技場第二体育館で開催された。

　三菱電機 コアラーズ vs. 日立ハイテク クーガーズの一戦は昨年の準々決勝と同一カード。昨年は延長の末に三菱電機が1ゴール差で勝利を手にしている。Wリーグ東地区の前半戦で好調な戦いぶりを見せていた日立ハイテクは、かつてENEOSを指揮し、日本代表ヘッドコーチも務めた内海知秀氏を招へいし、チームの強化を進めており、注目のチームである。

　序盤、三菱電機は激しいディフェンスで日立ハイテクのターンオーバーを誘発し、そこから得点源の渡邉亜弥、司令塔の川井麻衣を中心に着実に加点し、優勢にゲームを進める。日立ハイテクは今シーズンから移籍で加わった谷村里佳が高さを生かしてインサイドを攻めるも、1クォーターにチームで8ターンオーバーを犯してしまい13-20と三菱電機にリードを奪われた。

　2クォーターに入り、落ち着きを取り戻した日立ハイテクが徐々にリズムをつかむと試合は拮抗する。ゾーンとマンツーマンを併用する三菱電機のディフェンスに苦戦するものの、この日スターターに起用された白鞘郁里の３Ｐシュートなどで付いていき、前半を28-29と1点のビハインドで折り返した。

後半に入ると、日立ハイテクは谷村、鈴木知佳がインサイドを攻め込みリードを奪う。三菱電機も川井の３Ｐシュートなどで応戦するが、日立ハイテクは決められると決め返し一歩も引かない。さらにディフェンスの激しさを増し、相手のミスからのファストブレイクなどでペースを握った。

　52-46と日立ハイテクの6点リードで迎えた最終クォーター。食い下がる三菱電機は櫻木千華、小菅由香の３Ｐシュートなどで同点に追い付いたものの、日立ハイテクもすぐに決め返し、流れを渡さない。終盤の勝負どころではキャプテンの北村悠貴が強気のドライブで連続得点をあげ、粘る三菱電機を83-79と振り切り、昨年のリベンジを果たした。

　試合後、内海ヘッドコーチは「前半は選手たちが硬かったのですが、ディフェンスで頑張れたことで何とか乗り切れました。後半は白鞘を中心に、よくシュートを決めてくれました」とチームの目標だった初の”ベスト4”達成を振り返る。試合終盤で存在感を発揮した北村は「自分自身はリーグの前半戦では乗り切れず、モヤモヤしていてチームにも貢献できていなかったのですが、今日は開き直ってプレーすることができ、それが結果につながったのではと思っています。ただ、ここで満足することなくベスト4以上も狙っていきたいです」と意欲を見せた。

白鞘郁里(日立ハイテク)

川井麻衣（三菱電機）

　第２試合は、Wリーグ西地区首位のトヨタ自動車 アンテロープスに、同地区最下位のアイシンAW ウィングスが挑んだ。1クォーター、トヨタ自動車は馬瓜ステファニー、エブリン姉妹の連続３Ｐシュートなどで、25-17とリードを奪ったものの、トーナメントで強さを見せるアイシンAWが2クォーターに反撃。エース宮下希保がこのクォーター17得点、前半で23得点の活躍でトヨタ自動車に追い付き、41-41と同点で折り返した。

　宮下が「後半に入って、ミスが怖くなったりと、みんなの気持ちが守りに入ってしまった」というアイシンAWに対し、トヨタ自動車は1-2-2のオールコートゾーンプレスを仕掛け一気にたたみ掛ける。「相手のリズムを止めたかった」と説明するルーカス・モンデーロHCは、相手エースの宮下を徹底マークも指示し、3クォーターを26-7と圧倒する。迎えた4クォーターも勢いを止めることなく、次々とネットを揺らし、終わってみれば98-65と大差を付けての勝利となった。

　この試合で17得点・10リバウンドと攻守にわたり躍動した長岡萌映子は「2シーズン目となり、皆がルーカスHCのバスケを理解し、それぞれの役割が分かってきました。自分もシュートを打つ場面、周りを生かす場面が分かってきたことで、いいセレクションでシュートを打てるようになってきたのだと思います」とチームの成長を語った。

　ENEOS vs. デンソー、日立ハイテクvs. トヨタ自動車の皇后杯準決勝は12月19日に行われる。

長岡萌映子（トヨタ自動車）

宮下希保（アイシンAW）

＜準々決勝結果　1日目＞

ENEOSサンフラワーズ 78 -59 富士通 レッドウェーブ

デンソー アイリス 85-73 トヨタ紡織 サンシャインラビッツ

＜準々決勝結果　2日目＞

日立ハイテク クーガーズ83 - 79 三菱電機 コアラーズ

トヨタ自動車 アンテロープス98 - 65 アイシンAW ウィングス

（月刊バスケットボール）