月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2020.12.18

ビッグラインナップの一翼を担う富山の橋本晃佑

 激戦が続く東地区で3位・4位争いをしている川崎ブレイブサンダースと富山グラウジーズ。12月12日、13日の第13節には、富山がホーム(富山市総合体育館)に川崎を迎えて直接対決となった。

 

 11月のとどろきアリーナでは1勝1敗と星を分けており、シーソーゲームの戦いが予想された。第1戦の前半は富山のリードで進むも、後半、川崎が奮起して逆転。延長にもつれるバトルとなったのが、最後は川崎の篠山竜青の活躍で富山は惜しくも101-102の敗戦となった。だが、第2戦は5人が二桁得点をあげ、倍の数字を叩き出したリバウンドに加え、川崎の絶対的エースのニック・ファジーカスを見事にシャットアウトした富山が、最後までリードを守り切って96-78の18点差の快勝を収め、またもや1勝1敗で終えた。

 

 試合後、富山の浜口炎HCは「昨日(第1戦)のタフな負け方の中で、もう1回川崎にチャレンジしてしっかり戦えたことが良かったです。うれしいです」と、選手たちの闘争心を讃えた。

 

 敗れた川崎の佐藤賢次HCは「昨日は我慢して付いていき、粘って粘ってという展開が作れましたが、今日はシュートが入らなくなり、(気持ちが)オフェンスにいってしまった。ディフェンスでやるべきことをやり切れなかったのがチームとして一番残念なことです」と振り返った。

 

柔軟なプレーで活躍の幅を広げている橋本

 

宇都宮からやってきた頼れるビッグマン

 

 今シーズンの富山は、浜口HCをはじめ、4シーズンぶりに富山に帰ってきた城宝匡史(SG/183cm)のほか、リチャード・ソロモン(PF/211cm)、橋本晃佑(PF/203cm)、ジュリアン・マブンガ(PF/203cm)、岡田侑大(PG・SG/189cm)の5選手が入団し、オフェンスの爆発力を倍加させ、上位進出可能なラインナップをそろえた。その中心となるのがマブンガだ。B1リーグ№1の“トリプルダブル”の数字を残し、12月13日終了時点で今季4回目(Bリーグ通算12回目)を達成。富山の起点となってチームをけん引している。

 

 そして、そのマブンガも信頼していると話すのが橋本だ。

 

 橋本は今年5月、5シーズン在籍した宇都宮ブレックスを退団し、6月に富山へと移籍加入した。新天地を求めた理由は「もっと試合に出たい。もっとプレータイムを伸ばしたい」という思いからだが、もともと日本代表候補に選出されるほどの力を持っていただけに、日本人ビッグマンとしての特性を生かして確実に出場時間を獲得している。

 

川崎との2戦目は橋本の投入が一つのカギに…

 

 川崎との第1戦では、3Pシュート1本の3得点にとどまった橋本だったが、第2戦ではその高さが生きた。2Q、3分過ぎにマブンガに代わって投入されると、オンザコート1になった富山は橋本を加えた2-3のゾーンディフェンスを敷き、水戸健史と交代で再びコートインしたマブンガがボールハンドラーとなって走るバスケットを展開、川崎との点差を広げていった。結果的に橋本投入のビッグラインナップが、オフェンスでもディフェンスでも川崎のマッチアップのズレを作ることに成功した形だった。

 

川崎の佐藤HCも「前半の(富山の)ビッグラインナップの時間帯にうちのマッチアップがズレて、そこで走られて何本か簡単にレイアップまで持っていかれたので、そこが一つキーポイントだったと思っています」と、勝敗を分けた要因の一つに富山のビッグラインナップを挙げた。

 

 試合後の記者会見で橋本についてマブンガにコメントを求めると「橋本がいるのは大きいと思っています。オールラウンドプレーヤーですし、大きいサイズであれだけのプレーをできる選手はなかなかいない。シュートが上手だから、彼がフリーのときはいつも信じてパスを出しているし、ディフェンスでも彼がいることによってスイッチすることもできるから、チームの大きな力になってくれているんじゃないかな」と評価した。

 

尊敬するマブンガをはじめ今季の富山には機動力のある大型選手がそろっている

 

マブンガと同じチームでプレーできるのがうれしい

 

 パワーフォワードとしてベンチスタートながら、出場時間を増やし、3Pシュートの確率を上げ、リバウンドの平均本数も増えて、自身の存在感を示している橋本に、ビッグラインナップになったときの現状を聞いてみた。

 

「ビッグラインナップで出るといろいろな攻め方や守り方ができますし、水曜ゲームが続く中で練習時間も限られてくるので、試合をこなしながらチーム力あげていきたいと思います。自分としてもスペースを見つけながら、チャンスがあればシュートを狙って、リバウンドも今日も何本かいいのがあったと思うので、継続してそこを続けていきたいです」

 

 そして、マブンガとともにプレーできることを楽しんでいると笑顔を見せた。「オールラウンドプレーヤーのジュリアンとは一緒にプレーしたいと思っていたので、同じチームになって本当にうれしかったです。苦しいときもチームを助けてくれるし、やっていて楽しいので、これからジュリアンを含めてみんなとコミュニケーションをとってさらにチーム力を上げていきたいですね」と橋本。

 

 マブンガや橋本の加入でオフェンス、ディフェンスのオプションが増えただけでなく、ベテランの城宝、シーホース三河から移籍してきた岡田、NBAでのプレー経験を持つソロモンら新加入の選手たちがどんな色を出して、富山の躍進を支えていくのか。東地区での富山と橋本のプレーから目が離せない。

 

 

取材・文/飯塚友子

写真/©︎B.LEAGUE



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