月刊バスケットボール5月号

最年長となった「2mツインズ」竹内兄弟が東京オリンピックに挑む

 11月18日からスタートした日本代表の強化合宿には、公輔、譲次の竹内兄弟の姿がある。大学生時代より日本代表に選ばれ、以来、ケガで外れることはあったとしても、竹内兄弟には日本代表の中でまぎれもない定位置があった。日本開催となった2006年の世界選手権に向け、竹内兄弟は大学生ながら日本代表の希望として選出されていた。何しろ身長2メートルを超える双子でありながら、アンダーカテゴリーのころよりオールラウンダーとして育成されてきたゴールデンジェネレーションの旗頭、象徴であったのだ。しかし、彼らの代表活動は決して明るいものではなかっただろう。自国開催の世界選手権で、あと一歩のところで決勝トーナメント進出を逃して以来、結果が残せない時期を長く経験してきている。

 

 

 日本代表は昨年、2006年大会以来となるワールドカップ(大会名称が世界選手権=ワールドチャンピオンシップからワールドカップと変更になった)に出場。竹内兄弟も参戦を果たしたものの、決して定位置が与えられていたわけではなかった。八村塁、渡邊雄太といったNBAレベルとなる若手ビッグマンの台頭、強力な帰化選手の存在。彼らは世界との闘いの前に、国内での代表争いを超えていかなければならなくなったのである。反面、相手にもされなかったメディアの注目も集めるようになった。その状況は東京オリンピックに向けての道のりおいてさらに拍車をかけている。帰化選手にしても、ワールドカップに出場したニック・ファジーカスに代わり、ライアン・ロシター、ギャビン・エドワーズが今回の強化合宿には名を連ねているし、若手のビッグマン、シェーファー アヴィ幸樹の成長も著しい。代表最年長となった今、竹内兄弟は以前にも増して熾烈な代表争いの中にいる。

 

「まずはチームのシステムに慣れること。その中で自分に何ができるのかを探してくことになると思います。若い選手たちもどんどん出てきているので、彼らに負けないようにというのもモチベーションを高くし、自分の技術を伸ばすきっかけになっています」と譲次。兄の公輔は「最年長になってしまったので、コートの中ではもちろん、コートの外でもチームを引っ張っていけるように」と自らの立場を俯瞰する。「2月のチャイニーズタイペイ戦の直前合宿で長いミーティングを毎日やり、ワールドカップのビデオを見て、練習から激しくやっていこうと選手全員で話しました。そこから強度の激しい練習ができていて、それが9か月ぶりの強化合宿となった今回も継続できています。ワールドカップを経験した選手たちが多く参加している中で、自分からやっていこうという意識になってきています」と公輔は続ける。東京オリンピックに向け、激しさを増す代表でのポジション争いの中で、兄・公輔も、弟・譲次も「1日、1日を大切に取り組んでいきたい」と異口同音、淡々と語る。進化する日本代表の中で、若手に負けじと成長を遂げようとするベテランの背中が、日本代表を引っ張っていくに違いない。

 

(月刊バスケットボール)



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