月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2020.10.14

川崎がホーム第2戦で永久欠番セレモニーを開催

 10月11日、川崎ブレイブサンダースは川崎市とどろきアリーナでのホーム第2戦(川崎vs大阪)で、クラブ創設70周年の節目を記念して、クラブの発展に顕著な貢献をしたレジェンド3人(節政貴弘、北卓也、フレッディ・カウワン)の功績を讃える永久欠番セレモニーをハーフタイムに行った。東芝時代から脈々と続く長い歴史の中で、永久欠番が選出されたのはクラブ初のことだった。

 

永久欠番のユニフォームを掲げる節政氏(8)、北GM(51) 写真提供/川崎ブレイブサンダース

 

節政貴弘(8番)、北卓也(51番)、フレッディ・カウワン(40番)

 節政貴弘氏(在籍1995年~2009年)は、中央大学から東芝入り。同期入社の北卓也氏とともに4度の日本一へとクラブを牽引した司令塔だ。類まれなアシストパスのセンスに加え、日々の努力で獲得した3P王など、トップクラスのスキルを持つ選手だった。また、1998年、2006年には世界選手権に出場し、日本代表メンバーとしても活躍。現役引退後はリオ五輪や国内大会などテレビ放送での解説でバスケットボール界に携わっている。

 

 北卓也氏は拓殖大学を卒業した1995年の福岡ユニバーシアード大会で鮮烈な世界デビューを果たし、銀メダルを日本にもたらした。その後、日本代表にも名を連ねて数々の国際大会に出場。国内トップリーグやオールジャパンで東芝を4度の優勝へと導き、東芝の第一次黄金時代を築く立て役者となった。現役引退後はアシスタントコーチを3シーズン、ヘッドコーチを8シーズン歴任し、ヘッドコーチとしても3度の日本一に輝き、2019年5月からは、クラブ初のゼネラルマネジャーに就任して選手たちを支えている。

 

 フレッディ・カウワン氏(在籍1981年~1986年)は名門・ケンタッキー大学4年時に、NBAヒューストン・ロケッツからドラフト指名されながらも東芝入りしたクラブ初の外国籍選手。リバウンドや豪快なダンクシュートなど、インサイドプレイにめっぽう強く、当時、日本リーグ2部の東芝を1部に押し上げ、1983年のオールジャパンでは初の準優勝へとリードした。今回のセレモニーには新型コロナウイルス感染症の影響で来日できず、非常に残念だったことだろう。

 

 セレモニーでは、過去の懐かしい映像が数々流れ、オールドファンにはたまらないシーンの連続だった。また、セレモニーのプレゼンテーターとして2人のゲストが登場し、記念品が贈呈された。まず両氏をスカウトして東芝の第一次黄金時代の礎を築いた真下欣哉氏から節政貴弘氏へ。両氏と一緒にプレイして優勝の喜びを分かち合い、のちに東芝ヘッドコーチを務めた田中輝明氏から北卓也氏へ、額縁に入れられた永久欠番ユニフォームがそれぞれ贈られた。

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現役時代のカウワン氏
月刊バスケットボール
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2人のレジェンドが語った感謝の気持ち

 永久欠番セレモニーは昨シーズンの3月15日に行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期になっていただけに、アリーナに駆けつけたファンにとっては待ちに待った日となった。そして、現役時代は人気を二分していた両氏から、次のようなコメントが寄せられた。

 

◆節政貴弘 氏

「(永久欠番は)なかなかないことなので、大変うれしいです。自分が引退してから自分の番号(#8)がたまたま使われていなかったので、そういうのもあったのかなと勝手に解釈して喜んで受け取ることにしました。自分は、同期で北と一緒だったり、2年目で(スティーブ・)バード、(フレデリック・)ルイスと外国人選手にも恵まれたり、吉田健司さんというヘッドコーチがトップになるためにアメリカまで行って勉強したり、みんなが努力した結果が一番にあって、みんなで「トップにいくんだ」というところが一つになったのが大きかったと思います。そして、佐古(賢一/日本代表アシスタントコーチ)さんや、対戦相手、時代にも恵まれたのかなと。今日いろいろな人から声をかけられましたし、ビデオにもちょっと映りましたけど、他のチームの先輩、後輩にも恵まれたと思いました」

 

◆北卓也 氏

「永久欠番というのは元々頭になかったので、企画してセレモニーまでやっていただいてうれしかったです。今日会場でフロアに出た時に“北卓也”タオルを掲げてくれるファンの方がたくさんいて、ジーンときました。(現役時代は)優勝もあるし、逆に入替戦とか下位のこともあったので、そういったことを経験して優勝までたどり着けたのかなと思っています。現役は節政の方が1年長くやりましたが、東芝バスケットボール部の一時代を築けたのはよかったと思いますし、あうんの呼吸というか、目を見たら何を考えているか分かるというか、そういうところは、今までやってきたポイントガードにはないものが僕と節政の間にはありました」

 

栄光のバナーがアリーナを彩る

 アリーナ内にはクラブの優勝バナーとともに、3氏の背番号が入ったユニフォームバナーも飾られ、大勢のファンからの温かい拍手が送られた。また、アリーナ入場時に配布された70周年アニバーサリーブックは、ファンにとってうれしいプレゼントとなったはずだ。

 

 そして、試合は前日の勝利に続き、第2戦も勝利を収めてホームで連勝、永久欠番セレモニーに華を添えた。

 

文/飯塚友子 



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