月刊バスケットボール5月号

「目標を持ち、感謝の気持ちを忘れずに」。藤岡麻菜美さんが地元・千葉で小学生にクリニック

 10月最初の週末、元日本代表で、今年春に現役を引退した元JX-ENEOS (現ENEOS )所属の藤岡麻菜美さんによる小学生のためのクリニックが、千葉県浦安市のバルドラ-ル浦安アリーナ(浦安市総合体育館)で行われた。

 



 

 当地では当初、この3日(土)・4日(日)にWリーグの開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためリーグの開催方式が変更され、浦安での開催がなくなった。試合とともに予定されていた小中学生を対象とした選抜試合等の行事も実施ができなくなったが、「新型コロナウイルスの影響で様々な大会や体験機会が少なくなっている小学生を対象に、元日本代表選手によるクリニックを開催し、トップレベルの技術を身近で体感し教わることで、今後の競技や生活に対するモチベーションの維持・向上を図る」という関係者の思いにより、今回のクリニックが実現。

 

 クリニックは市内のミニバスケットボールチームから小学生最上級生が参加し、3日は男子、4日は女子を実施。小まめに水分補給の時間をとりながら行われたクリニックは、ハンドリングやパススキル等、多様なドリルが次々と展開。千葉県出身の藤岡さんはドリルごとにまずは自らお手本を示すと、地元の後輩ともいえる子どもたちの間をゆっくりと歩きながらドリルに取り組む様子をチェックし、気づいたポイントについてその場で声をかけてアドバイスを伝えた。

 



 

 約100分に及んだクリニック後は、子どもたちから藤岡さんへの質問コーナーへ。その中の一つ、「バスケをしていて大事にしていることは何ですか?」という質問に対して藤岡さんは、「私は、バスケットボールと私生活…学校や家での時間…はつながっていると思っています。例えば人に挨拶をすること、お礼を言うこと、感謝すること、そういった当たり前のことを大事にすることがバスケットボールプレーヤーとして成長していくために一番必要なことだと思っています」と回答。

 

 また、「バスケットをしていて目標にしていたことは何ですか?」という質問に対しては、「私の目標は東京オリンピックに出場することでした。これまでの間に大学で日本一になるなどいろいろなことを経験してきましたが、ケガや病気などもあって、今は指導の道を歩んでいます。最後の最後に目標を果たすことができませんでしたが、これからは新たな道で頑張りたいと思っています」と答え、目標を持つことの大切さと同時に、達成することの難しさ、そして、たとえ達成できなくとも人は新たな道を歩むことができることを語った。

 



 

 また、この質問コーナーの後には藤岡さんからサイン入りTシャツが贈られ、参加の子どもたちにはうれしい記念のプレゼントに。

 



 

 現在、自らの母校である千葉英和高校のアシスタントコーチを務める藤岡さんは、「今は高校生の女子を指導していますが、バスケットを楽しんで、吸収して、全力でやろう! という小学生ならではの純粋な気持ちに触れて、今日は自分自身も楽しくて、いい機会になりました」と笑顔で振り返った。

 

 また藤岡さんは、「多くの人たちに、自分が経験してきたことを伝えていきたい」という思いから、今後もクリニック活動を積極的に行い、『F-Program』と名付けたスクールも開校する。「これから、いろいろなカテゴリーにクリニックで教えにいくことができるのは、自分にとっての学びの場にもなると思います。そして、各世代に合った教え方の引き出しをどんどん作っていきたいと思っています」と抱負を語った。

 

 目標の大切さを子どもたちに伝える立場になった藤岡さんは、自らも新たな目標を抱き、大きな一歩を踏み出した。初秋の週末、そんな爽やかな空気を感じられる今回のクリニックだった。

 



 

取材協力:公益財団法人うらやす財団
株式会社ワールドデザインテーブル

 

(月刊バスケットボール)



PICK UP