月刊バスケットボール6月号

ソフトバンクがバーチャル空間での新しいバスケ観戦体験をテスト

 車いす、3x3、5x5とオールバスケットボールの日本代表が集ったBASKETBALL ACTION2020 SHOWCASEが開催された8月16日、Bリーグの来るシーズンに向けた新しい観戦スタイルのテストイベントが開かれた。日本バスケットボール協会、Bリーグのトップパートナーであるソフトバンクが行ったこのイベントは、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、ファンのアリーナでの観戦制限が予想されることから、どこにいても会場にいる気分で観戦できるバーチャルサービスをテストするためのもの。観戦者はPCやモバイル端末から、用意されたバーチャル空間にアバターとして指定のルームにチェックインし、同様に参加しているファンとともに、チャットをしたり、応援を送ったり、マルチアングルで楽しむことができるのだ。

 

 

 今回のプロジェクトの担当者であるソフトバンク株式会社の関戸淳文氏(サービス企画本部スポーツ企画部部長)は「今シーズンに関しては、ゲームを見たいと思っている人たちが満席のアリーナの中で、盛り上がるといったことは、恐らく難しいのだろうと思っています。そうした中で、我々としては映像とともに、コミュニケーションをし、仲間と盛り上がるといったことをいかにバーチャルで体験してもらえるかといったことを実現したいと思っています。今回のサービスは、まだ最終形態ではないのですが、まずは同じバーチャルな空間の中で、仲間と一緒に応援するということが、どういうことなのかを体験していただき、その中で、もっとこうした機能があったらいいとか、こういう楽しみ方ができたらといった意見を聞かせていただきたい」と経緯を説明する。

 

 今回のテストイベントにモニターとして参加した吉田将史さんは「自分のオリジナルのアバターを使えたりするとより盛り上がれると思いますし、ルームの使い方によって、ホームチームを応援するルームやアウェイチームを応援するルーム、いつも応援している仲間だけが集まって観戦したりルームなど、より楽しめるようになるのではと感じました」とオンラインでつながっている仲間を集めたりしながらすでに新しいサービスをかなり使いこなしているように見えた。また、白井紗奈子さんは「友達とチャットしながら盛り上がったり、知らないことを教えてもらったりしながら観られたので、そうした部分は一人でテレビ観戦するのとは違う楽しみでした。ただ、ゲームを観ることに集中したいときもありますし、チャットをしたりすることのバランスが難しいかなと感じました」と率直な感想を口にした。

 

 このような声に対し「チャットについては、ボイスチャットや定型文を用意するなど考えていきたいと思っていますし、ルームの使い方なども、あまり細かな想定はしていなかったので、さらに検討していきたいですね」と関戸氏。今後普及が進むであろう5G(第5世代移動通信システム)を念頭に置いているのだろうが、当面は5G限定ではなく、現状の通信環境でも対応可能なサービスでスタートする予定とのことで、「今回いただいた意見を生かして改良を重ね、Bリーグの開幕を目指して、遅くとも今シーズン中にはサービスをスタートできたらと考えています」

 

 アリーナでの観戦が一番であることは間違いないだろうが、それがかなわなくても仲間と一緒に楽しめる新しい観戦スタイルの誕生が刻一刻と近付いているようだ。

 

(月刊バスケットボール)



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