月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2020.05.02

稀代のエンターテイナー松島良豪(北海道)が引退会見を実施 『劇団松島』最終回も公開へ

 5月2日、今季限りでの現役引退を表明していたレバンガ北海道の松島良豪が引退会見を実施した。会見は昨今の情勢を踏まえ、オンライン上にて行われたが、引退会見という肩書きながら、松島らしい、非常にコミカルで和やかな雰囲気の中で会見が進んでいった。

 

 会見に先立ち、まずは『劇団松島』の最終公演が披露された。これは松島本人が団長、主演を務め、ホームゲームでファンを楽しませるために行ってきた公演だ。オンライン上での発表となったが、「これが今できる僕の最高のパフォーマンスだと思いました。僕も動画は今始めていましたが、すばらしい出来ですし、この短期間で(スタッフと)一緒に作り上げていけたことをうれしく思います。自分のやりたかったことを最後までできて本当に良かった。僕自身でも笑えて、感動できて、すばらしい作品でした」と最終公演も全力でやりきった。

 

 これまでコート外でのパフォーマンスもさることながら、堅実なプレーメイクと粘り強いディフェンスでチームを盛り立ててきた松島。事実上の引退試合となった3月15日の川崎戦では0得点ながら、4アシスト。この試合については「僕らしいなと思います。これまで“人を活かす”ということを個人的な美学としてやってきました。あの試合は折茂(武彦)さんにもアシストできたし、個人的に自主練も一緒にやってきた内田(旦人)選手のもアシストできました。最後にチームが勝てなかったことは残念ですが、あの試合に出場したメンバーの中でのベストを尽くせたと思っています」と松島。

 

 今後は指導者を志し、現在はすでに大学院でオンライン上での授業に励む日々を過ごしているが、引退後もレバンガ、そして北海道という土地への気持ちは変わらない。「僕にとってレバンガ北海等は人生の分岐点だったかもしれないです。ここに来なければ分からないこともたくさんありました。ここで良いことも悪いことも含めてもっと考えてやらなければいけない部分というのをものすごく学びました。北海道に来て本当に良かったし、5年前にここに来るという決断をしていなければ、今の僕はなかったと思います」。

 

 大きな決断だったことは想像に難しくないが、今は大学院で自身の選手として持ち味であったアシストに関する研究をしているそうで、順調に次のステップに進む準備が始まっている。「コーチとしてはチームでディフェンスをしっかりやっていきたい。それにBリーグ全体がフィジカル的にレベルアップしているので、体を当てることを嫌がらないフィジカルなチームを作っていきたいです。ほかはまだ考え中、学び中です」とコーチとなった際のチームビジョンを教えてくれた。

 

 

 また、選手としてはチームから離れることとはなるが、今回の引退会見でもう一つ発表があった。それは松島のレバンガ北海道CCO(Chief Communication Officer)就任だ。「みんなをつなぐ」(松島)という言葉のもと、クラブのコミュニケーションを円滑にしていくという松島らしいポジションに就く。

 

 稀代のエンターテイナーは引退会見でもそのキャラクターを前面に押し出し、“松島良豪らしい”引退会見を終えた。

 

「これから僕が指導者になったときに、コーチ・松島良豪を応援してくださるように願っています。レバンガ北海道というチームは、これからもここに残り続けます。僕がいなくなってもこのチームをずっと応援していってください。僕もレバンガが大好きです、北海道が大好きです。これからもレバンガ北海道の応援、よろしくお願い致します。今まで松島良豪をありがとうございました」

 

(月刊バスケットボール)



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