月刊バスケットボール5月号

【中国インターハイ2016記者の目】若い力

転勤がある公立高校とは違い、私立高校は転勤がなく、1人の指導者が長い年月をかけてチームを作ることができる。 だがコーチの世代交代は避けては通れず、新しいコーチが考えを継承しつつ、違ったスパイスを加えながらチームを作っていかなければ強さを維持することはできない。   世代交代とはまだ言えないが、八王子学園八王子もその準備段階に入りつつある。 長年チームを指揮するのは、指導歴37年目で八王子のバスケットを築いてきた石川淳一コーチ。 その指導の下で学んだ平川啓太郎がアシスタントコーチとして母校に帰ってきたのだ。   平川アシスタントコーチは、2010年のインターハイ初優勝に、当時2年生ながら貢献したシューター。 翌年はキャプテンを務めると、順天堂大に進学し、今年3月の大学卒業後、八王子に赴任した。   指導者として歩み始めたばかりだが、今大会からは早くもベンチから立ち上がり選手たちを鼓舞している。 「インターハイ都予選までは座っていましたが、インターハイが始まる前に石川先生から立って指示を出すように言われました」   タイムアウト時や重要な場面は石川コーチが選手たちに指示をしているが、『俺と同じスタイルでは意味がない。若いなりに動いた方が良い』と言うアドバイスもあり、立ち上がった際にはジェスチャーを加えながら若さを出している。 また自身がシューターだったこともあり、「八王子はシューターが活躍してこそのチーム。今年はシューター不在ですが、今日の北陸戦は⑥黒谷が決めてくれました。しっかり練習してきた彼が決めてくれるとうれしいですね」と、今の選手たちを現役時代の自分と重ね合わせながら指導をしている。 「知識はありませんが、自分の経験を伝えることはできます」   選手が大きく入れ替わった今年の八王子。 だからこそ一つ一つ勝ち上がり、それがチームの血となり肉となるが、それは平川アシスタントコーチも同じ。 若い力を発揮し、群雄割拠の大会を駆け抜ける。

(月刊バスケットボール編集部)

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